柿食へば餅も食ひたい法隆寺

投稿者: | 2005年5月24日

太郎通信にも書いてますが、先週末は奈良の法隆寺に行ってきました。今回は、太郎通信では触れていないエピソードを一つ。
折角拝観料を払って境内に入ったので、五重塔や大講堂、世界最古の木造建築という金堂などは一通り見て回ります。金堂の内部に入ると、入り口のところに「壁に触らないで下さい」の貼り紙。太郎にもしっかり言い聞かせます。いずれも国宝の釈迦三尊像、薬師如来坐像などをそれなりに感心しながら拝観し、順路に従って出口から出ようとしたときです。太郎のワガママが始まりました。「たろうくん、あっちからでたい」と入口の方を指します。ここは観る人も多いので、順路が設定してあって入口と出口は分かれていることを説明します。「いやや、たろうくん、はいってきたとこからでる」と泣き出してしまいました。
じゃあいつまでもそこで泣いていろ、と突き放して父は外へ出ました。太郎はしばらくその場で地団駄を踏んだ後、あろうことか壁をぱしっ、と叩いたのです。してはいけない事とはっきり認識し、それ故かなりビビりながらも、親に対する反抗を精一杯示したようです。理由や動機はどうあれ、公共の場、しかも重要文化財もある施設でのルール違反は許されません。無理やり建物から引きずり出され、大勢の観光客で賑わう中盛大に大泣きすることになりました。
ところで、境内には修学旅行の中学生とおぼしき団体がいっぱいいたのですが、女の子たちには人目も憚らず泣きじゃくる幼児、というのがウケたらしく、かわいー、かわいーと言いながら周りに集まってきました。中に一人積極的なのがいて、す、と太郎の正面に座ると「どうしたの。泣かないで」と優しく話しかけました。ここで顔を上げた太郎、初めて自分が注目の的になっていることに気付いたようです。元気な時ならえへらえへらと笑いながらおどけてみせるところですが、怒られて泣いていたというバツの悪さも手伝って、突然「恥ずかしい」と感じたようです。穴があったら入りたい、という強烈な羞恥を覚えた、初めての経験だったかも知れません。前回の「挫折」に続き、このところ初体験づいている太郎です。もう、顔を上げることすらできなくなって、俯いたまま母親ににじり寄ってサルの子供のようにへばり付いてしまいました。
この優しい女の子はしばらく太郎の足を触ったりして「がんばって、元気出して」とか何とか励ましていましたが、「人生、まだまだこれからだよ」と言ったのには思わず笑ってしまいました。
君もな。

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