ここ最近、というのは4月に入ってからだが、太郎は保育園で特定の友達とどうも上手くいっていないようなのだ。既に3回、ケンカして顔や首に傷を作って帰ってきている。聞けば怪我をしているのは太郎だけのようで、ケンカというよりは一方的にいじめられているようだ。相手は女の子なのだが、身体も大きくてまぁ強そうな子だ。当の本人はあまり気にしていないのか、それとも気付いていないのか、その子とは仲良しのつもりでいるようだ。実際よく一緒に遊んでいるようで、その分衝突も多いのかも知れない。
本人が気にしていないのなら放っておけばよいのだろうが、傷が残るほどの引っかき傷をこう何度もつけられながら「いいねん。○○ちゃん、ちゃんとあやまってくれたもん。たろうくん、だからゆるしてあげた」と言っている太郎を見ていると不憫というより、腹立たしくなってくる。もちろんケンカの原因は太郎にもあるわけで、相手の子が一方的に悪いわけでは決してない。だが5歳にもなって相手に怪我をさせるというのはやはり問題だろう。太郎が反撃しないのをいいことに、ナメてかかっているのではないかと考えると余計に腹が立ってくる。現場に居合わせたら相手の子の横っ面の一つも張り倒して叱り飛ばしてやりたいところだが、本当にやったら大問題になるんだろう。
個人的には、ナメられて苛められる位なら相手に怪我をさせてでもやり返せばいいと思う。夜、ケンカの相手の家に太郎を連れて謝りに行くというシチュエーションもできるものなら経験してみたいくらいだ。尤も、太郎の性格ではそういう事態になる可能性はほとんどゼロである。太郎は相手を思い切り攻撃できる子ではない。ちなみに、たろ父もそうだった。
平和主義者、というのはそれ自体は良いことなので、無理に好戦的になる必要は全くない。ナメられないようにするにも、別にケンカが強くなければならないことはない。何か、自信が持てるものがあれば自然に周囲からも一目置かれるものだと思う。父のように根拠がなくて自信だけ、というのは問題だけど、何でもいいから自信を持てる何かを掴んで欲しい。自分のことを自分で守れるようになるまでは、親が守ってやればよい。
というわけで、保育園に対して抗議と改善要求の手紙をシコシコと書いた過保護な父であった。