うかうかしているともう7月だ。七夕に合わせて、ちょっとばかし星座の勉強なんぞをしてみた。夏の大三角形を形成するわし座のアルタイル(Altair)、こと座のベガ(Vega)、はくちょう座のデネブ(Deneb)の名前を覚えてみる。ちなみに、何れもα星という、一番明るいランクの恒星である。デネブという名の星はいくつかあるけど、はくちょう座のものが一番有名だ。アラビア語で「尾」の意味なので動物の星座の尾の星につけられることが多いそうだ。ついでに調べてみるとアルタイルは同じくアラビア語で「飛翔する鷲」の意味、ベガは「降下する鷲、降り立つ鷲」を意味するそうだ。全部アラビア語とは知らなかった。
ところで、太郎はベガはすぐに覚え、デネブもまぁそのうち覚えたのだがアルタイルだけがどうにも覚えられない。何度教えても、ベガ、デネブと言わせた後にもう一度聞いてみるともう忘れている。「アル…」とヒントを出してやっても「アル…なんやったっけ?」とボケたことを抜かす。ちなみに、数分間の間にもう10回以上も教えて反復させた直後である。「ほら、たろうの最初の字は何や?」ここまで言って分からなければバカだ。
「んーと、た?アル…た…たろう?」
もうね、アホかと、バカか以下略。本人ももどかしいらしく、泣きながら一生懸命考えたりしてみるものの既に記憶からフラッシュされているのでいくら考えても出てこない。どうやら、聞いた直後は覚えていて何度でも反復できるのだが何か別のことを考えたり聞いたりしたらその瞬間にフラッシュされるらしい。これはもう現時点の太郎のスペックがそうということなのでどうしようもない。記憶に関しては、覚えるまで何度でも繰り返してより深い階層に書き込むしかあるまい。
両親に散々バカにされて凹んでいたので、勉強するということについて話をした。つまり、お父さんもお母さんも、最初は何も知らなかった。新しいことを一つずつ勉強して、少しずつ賢くなっていった。勉強というのは、努力しないとできない。人間は、大人になっても、おじいさんになっても、生きている限り勉強しつづけるのだ、と。
たろ父の子だから、気の毒だが太郎には「キレのよさ」とか「聡明さ」とかはあまり期待できない。それなりのものを身につけたければ、人並み以上に努力するしかないのだ。どこまで理解してくれたかどうか。