先月も携帯電話についてちょろっと書いたが、先週の火曜日、2006年10月24日に携帯番号ポータビリティ制度(MNP)が開始されたのでそれについて少し書いてみよう。数ヶ月もすれば状況もそれに対する評価も変わってしまうかもしれないので記録(記憶?)のために書いておくと、2006年10月現在、国内の携帯電話キャリアとしてはNTTdocomo、au by KDDI、Softbankの3社があり、契約回線数のシェアでそれぞれざっと5割、3割、2割といったところである。ここ数年の傾向としては各社とも契約数は伸び悩んでおり、とりわけSoftbankは苦しく、横ばい若しくは純減。auが比較的好調で契約純増数でdocomoを抜いたりしていた。そんな訳で、MNP制度開始前の予想としてはdocomoは現状維持ないし微増、auが大きくシェアを伸ばし、Softbankは苦戦するだろうというのが大方の見方だったと思う。
制度開始から週末を含め丸6日経った30日現在、各社からMNP制度利用の実績は公表されていないが、Softbankが直前にいきなりセンセーショナルな新価格プランを発表したため波乱含みのスタートとなった。Softbankの発表したプランが非常に複雑な上、販売店への周知に2日しか取らなかったため混乱を招き、週末には多くの人が販売店を訪れたもののどの程度が新規契約に結びついたのかはまだ分かっていない。その上、10月に導入したばかりの顧客管理システムが過負荷のため土日続けてダウンし、MNPを利用した転入も転出もできなくなるという事態に発展して混乱に拍車をかけた。結果的にdocomoやauでもSoftbankからの転入ができなくなり、しかもSoftbank側が障害の原因を新料金プランが好評でSoftbankへの転入希望者が殺到したためと説明したため両社はSoftbankに強く抗議した。
これについては、MNP制度開始月である10月の転出数を押さえるため、あるいはSoftbank人気を演出するために意図的にシステムを落としたのではないかとの噂まで出現した。新しい顧客管理システムはMicrosoft日本法人出身者を責任者に据えて鳴り物入りで導入したものらしいが、これを聞いた時点で私の中では障害の原因はシステムがタコだったから、に決定した。私は、PCのOSとしてのWindowsはそれなりに評価しているつもりだが、高度なリアルタイム処理が要求される業務システムでのMicrosoft製品は全く信用していない。が、Softbankの孫社長は昔からMicrosoftが大好きなようである。
さて、散々こき下ろしておいて何だが、私はSoftbankユーザーであり、今のところ他社に乗り換えるつもりはない。先月の時点では端末さえ今使っているものをそのまま引き継げるのだったらすぐにでもauに乗り換えるとか言っていたのだが、実を言えばそれさえも気が変わってしまった。Softbankの発表した新料金プランは「0円」という言葉を前面に出した定額制主体のプランが派手で目に付くのでそればかり報道され、実際に新規契約の大半はそのプランだという。ところが、同時に発表したプランの中には競合するdocomo、auの料金プランをそのまま真似したものがあり、これがかなり魅力的なのだ。いや、docomoのコピーはどうでもいい。auの料金プランをコピーした、オレンジプランというヤツがかなり気に入ったのだ。元々、私がauに感じていた魅力というのはGPSを利用した各種サービス、特に子供向け機種に関するサービスと、子供やシニアを対象とした料金プランの低価格である。GPSについては、Softbankでも対応端末が増えつつある。子供向けのラインアップがないのは拙いが、別に今すぐ必要なわけではない。それよりも、キッズプラン、シニアプランといった手頃な料金プランが用意され、しかも自分用の回線もauに準じた料金プランにすると月額1000円以上安くなるのだ。他にも、余った無料通話分の無期限繰越しできるなど、とにかくauの料金プランをそのままコピーしたものが提供されるので少なくとも料金プランについてはSoftbankを使いつづけるデメリットはなくなったと言ってよい。
MNPを利用した他者からの移行組だけでなく、現Softbankユーザーにも非常にメリットの大きいこのオレンジプランだが、一部ネットなどを除いてあまり注目されていないようだ。販売店でもこのプランはauから移行するユーザーのみ対象などと誤解している店員もいるようで、現場の混乱振りが窺える。尤も、他社の料金プランをまんまコピーしたプランをあまり大々的に宣伝するのはそれはそれでマズいのかもしれない。
とりあえず、当面はSoftbankに留まることにし、料金プランはオレンジプランに切り替えた。あとは、将来太郎に携帯電話を持たせる時までにSoftbankから子供向け端末が出ることを期待しよう。というか、端末価格を基本料や通話料で賄う現在のインセンティブモデルがなくなっていけば、各メーカーからキャリアを選ばない端末が発売されるようになるかもしれない。その意味でもSoftbankには期待したい。孫社長のやり方は気に入らないけど。
ところで、「太郎に携帯電話を持たせる時」はいつになるのだろう。小学生のうちからケータイなんて、という気もある一方、共働き家庭としては学校が終わってから親が帰宅するまでの間の連絡手段は確保しておきたい気もする。そうすると、機能を絞った端末を早い時期、例えば来春からでも持たせるというのも選択肢としてはあり得るのかもしれない。最近ようやく電話の使い方と両親及び家の電話番号を覚え、自分でダイヤルして父の携帯電話に電話するというようなことができるようにはなっている。ケータイさえ持たせておけば安心などという事は決してないが、どこにいるのか把握できるだけでも親としては安心感が全然違う。ま、しばらくは様子を見よう。