クイズ

投稿者: | 2006年10月2日

保育園に3択クイズの本があるらしく、一頃ちょっとしたブームになっていたようだ。3択以外にも、「○○は○○でも△△な○○はな~んだ」というヤツもある。さすがに5歳児ともなると本の受け売りだけでなくオリジナルを作ってみたくなるらしく、お迎えに行くと色んな子に色んな問題を出されたものだ。太郎も例に漏れず色々な問題を喜んで作っていた。いた、と過去形で書いたが、今でもよくやっている。最初のうちは3択の中に正解がなかったり、あからさま過ぎたり、「○○は○○でも」のはずが答えは全然○○じゃなかったりと問題のシステム自体を理解していなかったりしたものだが、最近は一応ちゃんとした問題を出せるようになってきた。
先日のことである。3択問題で、こんな問題を出された。「たかいおやまのうえは、たいようにちかくなるのに、つめたいのはどうしてだ。1ばん、…」選択肢がどんなのだったかは覚えてないが、正解と思われるものはなかったと思う。というか、正直なところ正解が分からなかった。その時は気圧が低くなってどうたらこうたら、と適当にごまかしたのだが、技術者として食い扶持を稼いでいながらこんなに身近な自然科学的事象を説明できないのは何とも情けない。こっそりWikipediaで調べてみたら、知らないことがいっぱい出てきた。折角なのでここに公開しよう。

地球をとりまく大気圏は、地表からの高さ方向に大きく分けて4つの層に分類される。一番地表に近いのが対流圏で、高度11kmくらいまでが含まれる。地球上で一番高い山であるエベレストの高さが約9km(8,850m)、長距離国際路線の旅客機の巡航高度がだいたい10kmくらいなので、普通の人に関わりのあるのはほぼこの対流圏に限られる。対流圏では高度が高くなるにつれて気温は下がり、一番上の対流圏界面では約-70℃前後となる。これは、地表で温められた空気の塊が対流によって上昇し、上空に行くほど気圧が低くなるので膨張するためである。気体が外からエネルギーの収受がない状態で膨張すると温度が低くなるのはボイル-シャルルの法則による。ちなみに、上空ほど気圧が低くなるのは水深と水圧の関係と同じで、要するに上に載っている空気の量(重さ)が小さくなるからである。
太郎の質問に対しては、これでひとまず答えられる。気圧云々というごまかしもあながち間違いでもなかったわけだ。ところが、もっと上、高度50kmくらいまでの成層圏と呼ばれるところではこの説明は成り立たないのだ。成層圏では対流がないので上昇に伴う気温低下が起こらないのは不思議ではないが、実はここでは高度が高くなるほど逆に気温が上昇するのである。もう一つ上にある中間圏との境の成層圏界面付近では-15℃から0℃になることがあるのだ。これは、成層圏の中に存在するオゾン層が太陽からの紫外線を吸収するからである。そして中間圏まで上がると、今度はまたまた高度が高くなるほど気温が下がる。上に行くほどオゾン層が薄くなるためで、高度約80kmの中間圏界面では平均約-92.5℃まで下がる。このあたりが、大気圏の中で最も低温となる。
中間圏の上は熱圏と呼ばれる。右の図では中間圏まではだいたいスケール通りの厚さにしてあるが、一番上の熱圏は実際にはもっととてつもなく大きく、高度800kmまである。この外は外気圏と呼ばれ、ほぼ真空となる。この熱圏だが、面白いことにここではまたも高度が上がるほど気温が高くなるのだ。太陽からの短波長の電磁波や磁気圏で加速された電子のエネルギーを吸収するためなのだが、何と2000℃まで上昇することがあるそうである。尤も、ここで言う気温とはあくまでも分子の平均運動量によって定義される。分子の密度が地表と比べてきわめて低いため、実際にそこに行っても大気から受ける熱量は小さく熱さは感じられないはずである。

いやはや、何とも奥が深い。というか、偉そうな事ばかり言ってるけど意外と何も知らないんだな。それにしても便利になったものだ。Wikipedia最高。

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