携帯電話とは、言うまでもなく携帯する(できる)電話のことである。これを省略してケータイと称するのはどうかと思う、という意見をどこかで見た気もするが、普及してしまっているものはどうしようもない。英語でもmobile phone(北米ではcellular phoneの方が一般的)を略して”mobile”だけで携帯電話を指したりもするし、日本語だけがおかしいわけではないと思う。
そんなことはどうでもよくて、今日書こうとしているのはその携帯方法である。先週号のThe Economistの記事で、フィンランドだかどこかのチームが世界4大陸(ってどこだろ)で数百人を対象に行った調査についてちょっと興味深い記述があった。今手元にソースがないので醤油で代用…じゃなくてうろ覚えで書くが、男性で一番多いのはズボンのポケットで約半数、女性は6割だか7割だかがハンドバッグに入れているそうだ。これはまぁ、実感としても納得できる。個人的にはハンドバッグに入れるというのはマナーモードにしてたら着信に気付きにくいし、あまり合理的な方法ではないんじゃないかと常々感じていたのだが、実際に多くの女性が掛かってきた電話に出られなかった経験があるそうだ。ま、「常時すぐに連絡が付く」という状態が必ずしも重視されるわけではないということだろう。
面白いのは地域差で、中国ではベルトに装着するポーチが人気で、北京では男性の約2割、吉林では4割近くがこのタイプを使っているのに対し、ファッションに敏感なミラノでは僅か数パーセント、東京に至っては「存在しない」そうである。ケータイにカバーをかけるのはソウルとあとどこかで流行っていて、派手なストラップが人気なのは東京とソウルだけとのことである。世界の傾向を論じるのにサンプルが僅か数百人というのはかなり心許ない気がするが、参考にはなるだろう。
さて、私はケータイの携帯方法にはそれなりにポリシーを持っていて、この方法は自分の使用環境に於いては極めて合理的で優れていると自負している。その方法とは、先の調査では日本には存在しないとされていた中国人御用達のベルトポーチである。落としたり無くしたりする危険は少ないし、マナーモードでも気付かないことはまずない。もちろん気付いてもその時は出られず、そのうち忘れてしまうことが無いわけではないがそれはまた別の話である。デメリットとしてはダサい、オッサン臭いということくらいしか思いつかない。あくまで自分にとって最良というだけで、私だって女性のドレッシーなベルトに携帯電話ポーチがぶら下がっていたら違和感を感じると思う。でもこちとらどんなに頑張ったところで所詮はダサいオッサンである。機能性と合理性を追求して何が悪い。オッサン上等。うらうらー
おほん。ちなみに、私の職場では20数人のグループの中でベルトポーチを使っているオッサンが私以外にも2人もいる。私が今よりちょっとばかり若かった学生時代[後半]、研究室でベルトポーチでケータイを携帯しているのは私だけだった。韓国人の留学生から「韓国では、ベルトに付けてるのはオジサンだけです」とか言われたりもしたが、日本でも同じだよ。ほっといてくれ。色々あって私の学生時代[後半]は周りの普通の学生ほど若くはなかったりしたのだが、本当に若かった学生時代[前半]は腰ベルトにポケベル付けてたさ。ああオッサンだよ。だからほっといてくれって。
さて、以前から書いているとおり太郎はソフトバンクモバイルの子供向け端末を持っている。GPSだ防犯ブザーだと色々内蔵しているためか、こいつがあまり軽くもなければコンパクトでもない。学校へは持っていかないのでそれ程携帯する機会がある訳じゃないけど、この頃休みの日に友達と遊びに行くくらいは1人で行くようになったし、親と出かけるときも迷子対策に持たせたりしている。最初は首から下げるタイプのストラップを試したが、常に走り回っている男の子には邪魔になって仕方ないようだ。我慢して持たせていても早晩どこかにぶつけて壊すに違いない。そこで大人の男性のマジョリティに従ってズボンのポケットに入れるようにしたのだが、子供用の浅いポケットだと簡単に落ちてしまうのが難点だ。椅子に座ったりするとかなりの確率で落ちてしまう。そうすると、私の結論は自ずと自分と同じ方法に落ち着く訳だ。幸い、家には私のお下がりで今は使っていないベルト装着ポーチが余っている。しかしながら、太郎はベルトというものをしていない。クリップで挟む仕組みになっているのでズボンの上端に着けることはできるのだが少しばかり安定性に欠ける。本人は普段から父親を見慣れているためかこのベルト装着タイプがお気に入りなのだが、なかなかこれを使う機会はない。母親が強い拒絶反応を示すからだ。なんでだろ。私は別にいいと思うのだが。
そう言うわけで、現在の所太郎の一般的なケータイ携帯スタイルはズボンの前ポケットに入れ、コードリールの先に脱落防止クリップの付いたストラップ(ワイシャツの胸ポケットに入れたいオッサンがよく使ってるヤツ。もちろん父のお下がり)を使って紛失に備える、というものだ。たろ母はこれでもオッサン臭いとか言って嫌がっているが、合理的に考えると極めて妥当な選択だと思う。いいじゃん別に、オッサン臭くたって。
合理性、合理性いう割にお前の行動はちっとも合理的と違うやろ、というツッコミは無しで。追求することと実践することは別なのである。