環境ホルモン

投稿者: | 2008年8月5日

マイナスイオンに対する批判は見逃してくれる人も、環境ホルモン問題は既に解決済みなんて言ったらとんでもない、と怒り出すかも知れない。でも私は、10年前に大騒ぎしていた所謂環境ホルモン問題については少なくとも合成化学物質による内分泌攪乱作用という点においては既に科学的に否定されたと思っている。というか、最近ちょっと勉強してそう信じるに至った。
そもそも、この問題が大きな話題を呼んだきっかけは1996年にシーア コルボーンが発表した”Our Stolen Future”(奪われし未来)という本である。この本は読んでいないが、97年のデボラ・キャドバリーによる”The Feminization of Nature”(メス化する自然)は読んだ。環境問題にそれなりに関心のある学生として、かなり真剣に勉強してショックを受けたものである。なお、「環境ホルモン」なる言葉はNHKが98年に使ってあっという間に広まったらしいが、「環境中に存在するホルモンのような物質」という意味合いで外因性内分泌攪乱化学物質(endocrine disruptors)を指していた。「メス化する自然」の中では「エストロゲン様物質」と表現されていたと思う。
1998年には環境庁(当時)が「環境ホルモン戦略計画 SPEED’98」にて「内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質」67物質を発表し、メディアに「環境ホルモン」という言葉が氾濫すると共にリストアップされた物質そのものを「環境ホルモン」と称するような風潮も見られた。メディアの過熱報道は数年で沈静化し、世間の興味も私の興味も次第に離れていくことになる。その後、検証実験事実が蓄積されるに従ってそれらの物質が哺乳動物に対し有意の作用を示さないことが明らかになり、環境省はリストを取り下げている。そのことは既に興味を失ったメディアで大きく取り上げられることもなく、私も最近まで知らなかった。

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