またまたフランスに出張してきました。パリから80kmほど南のFontainebleauという所です。参加した会議の場所はそこから更に遠くのEDF(フランス最大の電力会社)の研究所なのですが、そこだとホテルもないので主催者がFontainebleauからバスを用意してくれていました。Fontainebleauはナポレオン1世ゆかりの宮殿があったりしてそれなりに観光地なので、ホテルも沢山あって食事や買物も便利でした。
今回、同行した上司と顧客は前の週からパリで別の会議に出ていて、たろ父は1人で後から合流という形でした。しかも上司とは別の航空会社を使ったので帰りは同じ日程ながら別行動となり、行きも帰りも1人で移動という気楽な出張でした。
今回の航空会社はKLMです。エールフランスとは同じ会社なのでアムステルダム~パリ間は便数も多く、乗継は便利です。アジア系のエアラインで関空発着だと乗継の時間が長く、時間帯も良くありません。上司は大韓航空を利用したようです。値段はKLMの方が若干安いくらいでしたが、好みは人それぞれです。たろ父は出張では仕事が終わればさっさと家に帰りたいので、朝が早くても翌日の午前中に帰国できるフライトが好きなのですが、到着が夜遅くなっても現地で半日でも観光できる午後発や夜発のフライトがいい、という考えも理解できます。初めての国とかだったらたろ父もそうするかも知れません。
出発の朝、電車で空港に向かっていると会社から電話が掛かってきました。先にFontainebleauに入った上司から連絡があり、駅ではタクシーがいないということを伝えてくれたそうです。たろ父は公共交通が好きなので1人の移動でタクシーを使うことはほとんどありません。今回もバスを使うつもりで、路線と運行時間は事前に調べてありました。空港からは列車の近郊線と郊外線を乗り継いで行くことになりますが、その経路ももちろん調べてあります。1人で好きにさせてもらえるのなら楽なものです。
ところが、関空に着くとたいへんな事になっていました。この日エールフランスでストがあり、関空~パリの便が欠航、更に機材繰りの乱れからKLMのアムステルダム行きも到着が大幅に遅れ、関空出発時点で3時間ほど遅れることになっていました。アムステルダム~パリは運行しているものの全便ほぼ満席で、KLMカウンターの人が取ってくれた便ではパリ着が夜中になってしまいます。これではこの日のうちに辿り着けません。事情を説明し、更にアムステルダム到着予定時間の1時間後くらいに出るエールフランス便があるのを知っていたのでそれを指摘し、何とか押し込んでもらいました。1人だとこういう時も融通が利きやすいのです。ただでさえ混乱している空港で乗り継ぎ時間も短いとロストバゲージのリスクは高まりますが、最悪手荷物だけでも初日の会議は凌げます。
アムステルダムにはほぼ予定通り到着しました。広いターミナルをほぼ走りながらの移動でしたが、僅かな合間に絵葉書と切手を買って大急ぎで書いて投函しました。パリにも特に遅れなく到着、荷物も無事でした。この時点でFontainebleauの駅までは行けることが決定しましたが、問題はその先です。まずは宿泊予定のホテルに電話して、ホテルから駅にタクシーを呼んでもらうよう頼んでみました。パリなら多分やってもらえます。ところが、タクシーは前日の予約しか受けられないと断られてしまいました。近くにはタクシー会社もないようです。
さて、残されたオプションを検討します。Fontainebleauの駅まで列車で行ったとして、その先は徒歩しかありません。距離は4km程で道も簡単そうですが、昼間ならともかく夜中に知らない町を1人で歩くのは危険すぎます。タクシーを確実に捕まえるなら空港か、パリ市内の大きな駅ということになります。空港からだと100km以上ありそうなので、パリ市内のなるべく南の大きな駅まで列車で行き、そこからタクシーに乗ることにしました。確実なのは、南方面の郊外線のターミナルになっているパリ・リヨン駅です。元々の計画でも経由する予定だったので、駅構内の構造なんかも調べてあります。
シャルル・ド・ゴール空港からパリ・リヨン駅までは近郊線(RER)が便利です。途中1回乗り換えがありますが、同じホームの向かい側なので移動は最小限で済みます。空港から北駅くらいまでの間は移民の多いエリアで、列車の中も白人はほとんどいなくて非ヨーロッパ系の言語が飛び交っています。たろ父は、洗練された都会よりもどちらかというとごちゃごちゃした移民街みたいなところの方が落ち着きます。
パリ・リヨン駅のタクシー乗り場はさすがにタクシーがいっぱいいて、整理係みたいなおじさんがいて次々に客を捌いていきます。たろ父が乗ったタクシーの運転手(ラオスからの移民らしい)は珍しく英語が話せる人でした。Fontainebleauまで行ってほしいというとかなり驚いて、80ユーロ位かかるかもしれないけど大丈夫かとか、カードの機械がないから現金で貰わないといけないけど大丈夫かとか色々心配していました。ビジネスで来ているからタクシー代は清算できること、ちゃんと現金も用意してることを告げるとようやく安心して出発してくれました。日本人なら旅行者でも100ユーロくらいかかる距離をタクシーで移動するのは珍しくないでしょうに。そんなに貧乏そうに見えたのでしょうか。結局、1時間弱かかって料金はチップ込み90ユーロでした。列車に比べると高くついてしまったけど、前日に移動して1泊したらもっと高くつくので構わないでしょう。ですよね、経理の人。
宿泊したホテルは宮殿の近くで、会議場までのバスは宮殿前から発着します。外からでも少しくらいは見えるのかと期待していたのですが、朝の出発は8時前、夕方帰ってくるのは7時過ぎで、この季節はどちらも真っ暗です。せっかく有名な観光名所にいながら見えるのは暗がりの中のシルエットだけというのも寂しいですが、観光に来ているわけではないので仕方ありません。
最終日だけは午前中で終わったので、昼過ぎに帰ってきて初めて明るい中で宮殿を見ました。午後は自由だったので宮殿の中も見学し、しっかり観光もできました。食事はずっと上司、お客さんと一緒だったので後半はかなり苦痛でした。国際会議に出席してずっと日本人ばかりで固まっていると息が詰まると思うのですが、そうでない人も多いのでしょうね。
帰国日は朝6時頃ホテルを出ました。会議に出席していた日本人の中には朝9時くらいの飛行機を予約している人もいて、朝Fontainebleauを出るのでは間に合わないのでその人たちは前日にパリに移動してパリで1泊したようです。たろ父の便は昼前の出発です。バス停で同じ会議に出席していたアメリカ人と会い、パリまで同行しました。奥さんが一緒に来ていて、ついでに休暇を取ってパリで数日遊んでから帰るそうです。うらやましい限りです。
帰りは特にトラブルもなく、翌日の朝関西空港に到着しました。たろ母と太郎が空港まで迎えに来てくれていました。前回の出張では帰ってきたのが日曜日の夜遅くで休む暇もありませんでした。やっぱり午前着の日程がラクです。次も好きにさせてもらえるのなら直行便がいいな。