石油はどうしてできたのか

投稿者: | 2009年3月27日

終業式も終わり、成績も学業だけでなく、危惧していた生活面の評価もかなり良い(甘い)評価で気をよくしている太郎は週末までジジババ宅に里子に出ています。
ところで、今回は「石油」についてのお話です。太郎によると、石油は恐竜の死骸が長い年月をかけて変化したものだそうです。たろ父は学校で習った記憶はありませんが、何となく生物由来だろうとは思っていて、石炭というのは見た目がいかにも植物、というか樹木っぽいので多分植物由来、じゃあ石油は動物なのかな、くらいに思っていましたが、深く考えることも調べることもしていませんでした。実際に調べてみると、石油の生成メカニズムは未だ解明されていないところが多く、その由来についても色々な考え方があることがわかりました。
たろ父の考えていたのは有機由来説といって、動物、植物の分けは明確ではないものの一応現在のところ最も有力とされている説だそうです。ざっくり二分してしまうともう片方は無機由来説ということになりますが、これは生物誕生の遙か以前、地球の誕生期に存在したメタンなどの無機物に由来する炭化水素が地殻変動に伴ってプレートの隙間から上昇して溜まったものが石油であると、簡単に言えばまあそんな説です。どちらの説にしてもうまく説明できる現象と説明できない現象があり、どちらが正しいのか、あるいは両方間違っているのかわからないけど、今のところ有機由来説が多くの支持を得ている、というのが現状のようです。
石油の無機由来説は有機由来説と並んで人類が石油の由来なんてものを考え始めた当初からある古い説ですが、たろ父の子供時代を含むかなり長い期間注目されることがなかったため、最近になって知った人の中には「従来の常識を覆す新説」と捉える向きもあります。
ちなみに、油田のある地層の多くはジュラ紀や白亜紀などの恐竜が栄えていた時代と一致し、太郎の主張はあながち間違ってはいないようです。太郎は突拍子もないことを言うことがよくあるのですが、図鑑を隅から隅まで熟読していたりするので実は正しいことを言っていることもあり、油断できません。もちろん盛大に誤解していることも多いのですが、ちゃんと調べて論理的に説明しないと納得してくれません。えーとその、もちろん良いことなんですが、正直ちょっと面倒です。
さて、今回調べていて面白かったのは、前述の「常識を覆す新説」として無機由来説を紹介しているところの多くが、この説が学会や産業界で積極的に支持されていないのは産油国や石油メジャーなどの大企業の利害と対立するためであるというアプローチで説明していたことです。つまり、無機由来だと石油は「いずれ枯渇する有限の資源」ではなくなるため、この「事実」が明らかになると石油利権で儲けている勢力にとって不都合なので、豊富な資金力と政治力にまかせて圧力をかけている、というわけです。
たろ父はこの手の「陰謀論」を眺めるのが結構好きです。古くは「アポロは実は月に行っていなかった」から最近の「911テロはアメリカ政府の自作自演」まで、世の中に数多ある陰謀論に共通しているのは、「政府(または学会、産業界など)は都合の悪い事実は隠蔽している」などとして公式な発表資料の内容を否定し、事実に基づく論理的・科学的な検証というものを放棄している点です。都合の悪い事実は「権力者による捏造・隠蔽」と言ってしまえばとてもラクです。実際、高名で実績のある科学者が陰謀論というダークサイドに堕ちる例もあります。911テロの陰謀論では有名な物理学者だかがWTCビルの崩壊についてトンデモなことを言ったりしてました。ま、専門家が自分の専門外の事に偉そうに口を出すとろくなことはありません。
尚、石油の話に戻すと現在の原油価格決定のシステムはもちろん埋蔵量だけに依存しているわけではなく、石油の由来についていずれかの説を強力に支持する新事実が明らかになったとしても「世界を変える」ほどのインパクトがあるとは考え難いと思います。ま、フリーメーソンとかロックフェラーとかが暗躍する世界っていうのはミステリーとしては面白いですね。

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