太郎は、父に似ず字がきれいに書けます。慌てて書いたりすると無茶苦茶な字を書いたりもしますが、ちゃんと書けば書けるようです。あまり酷い時はたろ父も注意しますが、たろ父自身はあまりまともな字を書けないので強くは言い難いのです。
太郎も自分は父より字が上手いと思っているので、字に関しては父の言うことをあまり聞いてくれません。以前クレジットカードの利用控えにサインする時、サインは真似をし難いように書いた方が良い、というようなことを言ったのをずっと覚えていて、たろ父がたろ母から字の汚さについてバカにされていたりすると、「いいやんな、この方が、マネされへんもんな」などとフォローしてくれたりします。悪気がないのは分かっていますが、ちょっと辛いです。
たろ母は太郎が汚い字を書くと厳しく叱りますが、特に自分の名前を汚く書いたり、書き順を間違えたりするとこっぴどく叱られることになります。曰く、字に書いた自分の名前は自分自身を表すのだそうです。
ところで、たろ父はつい最近自分の名前にある字の書き順を間違えていることを知りました。字が下手くそで漢字を知らないのは自覚していましたが、まさか自分の名前の字を間違えて覚えているとは思いませんでした。私はこの先、どのツラ下げて生きていけばよいのでしょうか。
とりあえず、コンピューターでほぼ全ての仕事がこなせ、人前で字を書かなくても生きていける現代社会に感謝します。テクノロジー万歳!