安全と安心

投稿者: | 2010年5月24日

前にも似たような事は書いている気がするけど、改めて。
宮崎県での口蹄疫の蔓延について、初動の遅れなんかの対策の不備が色々指摘されてますが、去年の新型インフルエンザでもそうですが想定外の事態に最初から的確に対処するのはなかなか難しいところです。ただし、そうは言ってもちゃんとしてもらわなくては困るわけで、事が落ち着いた後にちゃんと事後検証して、反省すべき点は反省し、同じ過ちを繰り返さないことが大切でしょう。
宮崎県えびの市の口蹄疫防疫対策本部というところが感染拡大を防止する目的で無人ヘリを使って250倍に希釈した食酢を散布した、というニュースがありました。既にあちこちで指摘されていますが、口蹄疫ウイルス対策としては何の効果も期待できない行為です。住民には「安心した」と感謝されたそうですが、これに安心して他の対策を怠ることがあればむしろ有害な行為と言えるでしょう。昨年の新型インフルエンザで、1週間休校した学校で再開前に全教室を消毒して回った(インフルエンザウイルスの環境中での寿命は最大2日程度)という例がありましたが、似たような構図でしょう。
これらは、事後検証するまでもなくその時点の知見で科学的に意味がないことが判明していますが、なんとなくやった方が安心する、という点で共通しています。件の学校(神戸だったかな?)でも、保護者や市民から「無駄なことをするな」という批判が出たとは聞いていません。
役所や学校などの公的機関が責任を持って対策すべきは「安全」であって、個人によって基準のまちまちな「安心」に対処しようとしても無意味なことが多く、往々にして本来すべき対策を誤りがちです。我々一般市民はすぐ不安になる(そのくせ喉元過ぎればすぐに忘れる)ので、各担当者様におかれましては毎日大変だとは思いますが、その場の「民意」に一々流されることなく、ちゃんと論理的、科学的な対策を心がけて頂けると幸いです。

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