「鉛筆を舐める」という表現がどれだけ一般的なのか分かりませんが、お役所を含む一部業界ではたまに耳にします。金額などの数字がどうも都合が悪いとき、適当に数字をいじって無理やり辻褄を合わせるような時に使います。若い人が使っているのはあまり聞いたことがないので、やがて廃れる言葉なのでしょう。
ところで鉛筆の芯って舐めたことあります?昔の品質の悪かった鉛筆では書いているうちに滑りが悪くなってきて、舐めるとちょっとの間マシになったという話を聞いたことはありますが、たろ父が子供の頃は既に品質が良くなっていたのか、鉛筆を舐めたら書きやすくなったという記憶はありません。
と、ここまでは前フリでして、実際に鉛筆を舐めていた記憶はないのですが、鉛筆の芯を舐めると鉛が体に溜まるから良くない、と注意をされたことは何となく覚えているのです。もしかしたら、注意されていたから舐めなかったのかも知れません。
たろ父は今ではすっかり汚れた大人になってしまいましたが子供の頃は純粋で素直だったので、大人に言われたことは疑うことなく信じていました。合理的な判断力が付く以前に意識に刷り込まれた事というのは恐ろしいもので、ずっと騙されていたことに今更ながら気付く、ということが実は今でもたまにあったりします。
鉛筆についても特に疑うことなく、鉛なんか舐めたらそりゃよくないよなー、くらいに思っていました。30数年間ずっと。
同じ事を信じていた皆さん(っているのか?)、騙されてはいけません。鉛筆の芯に鉛なんて入っていません。「黒鉛」なんて名前がややこしいのですが、ヤツの正体はただの炭素の塊です。何で黒鉛と呼ばれるかと言えば、元素分析される前はホントに鉛が入っていると思われてて、その頃の名前が残っているだけです。いたいけな少年の心を翻弄するとは、恐るべしグラファイト。
昔はこんな事が言われてたんですよ-、昔の人は無知ですね-、みたいな文章(しかも5年前の)をWebでたまたま見つけて愕然とした次第です。
親とは言え、人の言うことをあんまり迂闊に信じ込んじゃあいけませんな。