2019年夏の旅行 ~レンタカー編

投稿者: | 2019年8月25日

今回の旅行ではオランダとイギリスでそれぞれレンタカーを借りて、結構な距離を運転した。この記事ではヨーロッパの車やドライブに関する色々を書いておこう。

オランダを含めて大陸ヨーロッパ諸国はアメリカ同様に左ハンドル、右側通行だ。アメリカとの大きな違いは、乗用車では今もマニュアルトランスミッションが主流ということ。レンタカーではATを選ぶこともできるけど、選択肢は大きく狭まる。日本はアメリカ同様乗用車ではほとんど全てATになっているので、日本やアメリカにいる限り「最近のMT車」に触れる機会は少ない。ン十年前は日本でMT車に乗っていたから運転は大丈夫、という人でもその数十年の間の変化に戸惑うことは結構ありそうだ。

数年前にフランスでの出張で初めてレンタカーを使った時、新しいBMWのMT車でまずエンジンのかけ方が分からなかった。昔の車ならギヤがニュートラルに入っているのを確認するかクラッチを踏み込んでイグニションキーを回せばセルモーターが回ってエンジンがかかった。今の車はそもそもイグニションキーがなくてスタートボタンで始動するようになっているが、ボタンを押してもエンジンはかからない。AT車では安全のためブレーキペダルを踏んだ状態でないとエンジンを始動できなかったりするのでブレーキを踏んでみることはすぐに思いついたのだけど、それでもスタートボタンは反応しない。色々試して、クラッチペダルとブレーキペダルを両方踏み込んだ状態でスタートボタンを押さないと始動できないことが分かるまで5分くらい掛かってしまった。

BMW

もう一つの注意ポイントはリバースギアだ。昔は4速か5速までしかなかったのでシフトパターンはリバースを入れても3列で収まり、日本車であれば一部商用車を除いて左前が1速、右後ろがリバースというパターンがほとんどだった。欧州車は当時から色々なパターンがあって、3列では収まらず4列になっているものは通常の3列の外側にあるリバースギアに入れるには何らかの追加アクションが必要だった。MT車を運転したことがない人は何の話か全く分からないと思うけど、それは気にしないことにする。

さて、イマドキの乗用車はATでも5速とか6速とか(あるいは無段変速とか)あるくらいだから、MTだと大抵6速まである。そうするとシフトパターンがリバースを含めると3列では足りず、必然的に4列以上になってしまう。そのため、リバースギアに入れるにはシフトレバーを倒すだけでなく何らかの追加アクションが必要だ。大抵はレバーに付いているボタンを押すかリングを引き上げるか、あるいはレバーそのものを下に押し込むといった動作だ。車によって色々なので、走り出す前にまず確認するようにしておきたい。

さて、今回オランダでは元々レンタカーを借りる予定はなかったのだけど、アムステルダムから少し離れた締切大堤防を見に行こうと思っていた日に天気が悪く、悪天候でも楽しめそうなツアーが見当たらなかったので急遽レンタカーで自分たちで行くことにしたのだ。直前(前日の夜)に決めたのだけど特に車種のこだわりもなかったので、空いている車のあるところで予約した。アムステルダムは市内であればどこでもバスやトラムで移動できるので便利だ。

レンタカーのカウンターでは追加の保険やら何やらを勧められることもなく、5分ほどで手続きが終わった。実は国際免許証(免許証の翻訳証明)をホテルに忘れてきていたのだけど特に問題なく借りることができた。エンジンのかけ方もフランスで経験していたので特に迷うことなくクリア。スマホがあるのでナビは要らないと料金を払っていなかったのに備え付けのナビが付いた車でラッキーだった。

アムステルダム市内は自転車の安全な利用を推進するために自転車優先を徹底した道路設計となっていて、例えば自転車道と車道の交差部では自転車道には段差がなく、車道側で一時停止して段差を超えて進入するようになっている。信号があってもなくても歩行者や自転車がいればとにかくそちらが優先なので、むしろ迷うことがなく運転は楽だった。

高速道路(料金は無料)の制限速度は最大で120km/hだった。速い車もいたけど、せいぜい制限プラス10km/hくらいでそんなに飛ばしている車は見かけなかった。アメリカやヨーロッパではナビに制限速度情報が入っていて、車種によってはインパネのスピードメーターの横に制限速度が表示されたりする。日本では見たことがないけど、便利な機能だと思う。

日本では馴染みの薄い交差点のラウンドアバウトは左回りで中を回る車が優先。フランスではラウンドアバウトでも右側優先の原則で外から入ってくる車が優先になっている場合があって、悪名高いパリのエトワール凱旋門みたいに慢性的な渋滞の原因になったりしているけどオランダではそんな謎ルールはない。

アムステルダムから郊外に出ると道路の両側にひたすら水平な牧草地が広がり、所々古い風車があったりして美しい景色が続く。ただ、どこまで行っても同じ景色なのでそのうち飽きてきた。

続いてイギリス。こちらでは最初からレンタカーを借りる予定だったけど詳しい予定が中々決まらなかったので結局出発前には予約しなかった。ロンドン市内で借りて帰国日の前日に返却するつもりだったけど、調べてみると市内では普通の料金の大手しかなく、格安の会社は空港にしかないことが分かった。どうせ空港で返却するのならと1日予定を延ばして、返却したその足で帰国することにした。

kia

ヒースロー空港では格安レンタカーは空港内にはカウンターがなく、連絡バスで少し離れた場所に行く必要があった。しかもたまたまレンタカー会社のシステムがダウンしていて、車を借りるまで1時間以上も余計に掛かってしまった。格安だからかどうか分からないが、燃料のオプションは予め燃料分のお金を払うか「level to level」で給油して返すかしかなかった。よくある満タン返しではなく、借りた時の燃料計のレベルとだいたい同じくらいのレベルにして返すということだ。ちょっと面倒だけど、店舗側からすればどんな状態で帰ってきてもわざわざ給油することなくそのまま次の客に貸し出せるのでコストと手間は抑えられそうだ。

イギリスでは色々な所を回る予定だったのでナビのオプションは付けるつもりだったけど、標準で付いているようで何も聞かれなかった。

イギリスは日本と同じ右ハンドルの左側通行、トランスミッションは大陸ヨーロッパ同様マニュアルが多い。面白いのがレバーの配置で、右ハンドルなのに左ハンドルのヨーロッパ車のようにウインカーレバーが左側、ワイパーレバーが右側にある。ATならどちらでも大した問題はないけど、MTの場合シフトレバーを操作しながらウインカーを出す機会はそれなりに多いので同じ左手で扱うよりは左右に分けた方が合理的だと思う。実際、ウインカーを出さずに曲がっている車は多かった。

イギリスでは大きな交差点は進入に信号機の付いたラウンドアバウトになっているところが多かった。信号機を付けるのであれば普通の直交交差点でも問題ないと思うのだけど、わざわざラウンドアバウトにする意味はよく分からなかった。複数車線の道路ではラウンドアバウトの手前で行先方面ごとにレーンが分かれていたりして、右折車線と直進・左折車線に分けるのと同じ感覚だと思うのだけど、せっかく手前で整流しているのにラウンドアバウトに入れてしまえばまた輻輳してしまうのに。ラウンドアバウトが2つ連続で繋がっている所なんかもあって、正直非常に分かりにくい。フランスもそうだけど、交通ルールは昔からの習慣を引きずっていたりするので必ずしも合理的に決まっているわけではないのだろう。

イギリスでもう一つ面白いのは高速道路だ。大陸とは体系が違うけどイギリスにもシステマチックに番号が振られた道路体系があって、高速道路はマンチェスターに入る一部を除いて無料だ。特徴的なのは高速道路と一般道路に明確な境界がない場所があることだ。制限速度70マイル/hの高速道路を走っていたらだんだん道路脇に店や家が増えてきて、制限速度が50マイル、40マイルと下がってきたと思ったらいきなり信号が出てきたりする。逆も然りで、どこから高速道路になったのか分かりにくい。

オランダ以上に制限速度はしっかり守られていて、無闇に飛ばしている車はほとんどいない。罰金がかなり高いのだろう。至る所にカメラがあるようだが、書いてある警告を読むと日本と違って瞬間速度ではなくある区間の平均速度を監視しているらしい。日本のオービスだとカメラの位置さえ知っていればそこだけ減速すれば捕まることはないが、そうした手は使えないようだ。ナンバープレートの記録を保持、追跡しているということなので、犯罪捜査やテロ対策なんかにも色々使われているのかもしれない。

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