フィットネストラッカー

投稿者: | 2024年1月24日

一般には「スマートウォッチ」と言った方が通りがいいかもしれない。Apple Watchみたいに手首に着ける腕時計型のデバイスで、時刻の表示以外にも色々な機能があるもののうち、運動や健康にフォーカスした製品をフィットネストラッカーと呼んだりする。充電時以外は寝ている間も含めてほぼ常時身に付けている(身に付けていてもあまり気にならない)という腕時計型デバイスの特性を活かして、搭載した各種センサーで動きや心拍を継続的に測定することで日常生活の中での身体活動をわざわざ意識することなく勝手に記録してくれるというものだ。5年ほど前に使い始めて、機種を何度か変えながら今も気に入って使い続けている。

使い始めたきっかけは自転車通勤だ。せっかくある程度まとまった運動をするんだから、心拍とか消費したエネルギーとか、そのあたりを把握しておきたいと思って、価格的にも「身に付けていて気にならない」という点でもお手軽なリストバンド型、つまり腕時計型の安い機器を買ってみたのだ。中国製のよく知らないメーカーで、3000円くらいだったと思う。腕時計型とは言っても時計としての機能、つまり時刻を確認するには少し難があって、バッテリー消費の問題で画面のバックライトは常時点灯にはできず、手首を返して時計を見る動作を検知してバックライトが点くようになっているのだけど、そのほんの少しの手間が意外にストレスになるのだ。今では常時点灯のモデルが各メーカーから出ているけど、当時はAppleWatchですら常時点灯はできなかった。なので、時計としての機能には最初から期待せず、左手首には従来通り普通の腕時計を着けて、トラッカーは右手首に着けるようにしていた。この最初のトラッカーは数ヶ月で壊れてしまったのだけど機能的には満足していて、元々期待していた運動中の心拍数を計るという以外にもペアリングしたスマホの通知を表示してくれたり、ある程度の時間座ったままでいると立ち上がるよう促してくれたり、睡眠中の動きと心拍から睡眠の「質」を評価してくれたりと、使い始める前はあまり重視していなかった機能が使ってみると以外と便利で気に入ったのだ。

最初の中華モデルが壊れた後、次はもう少しちゃんとしたモノを買うことにした。調べてみるとこの分野ではfitbitとGarminが有力メーカーのようだった。Garminは登山用GPS受信機やサイクルコンピューターが有名で、自転車で使うのであればGarminの方が色々便利そうではあったんだけど、当時はあまりガチでスポーツやります、というよりはユルくライフログを残すという使い方を想定していたのでfitbitを選ぶことにした。ちょうど新モデルのcharge3という機種が発表されたばかりで、アメリカでの発売開始直後にちょうどアメリカ出張の予定があったので、出張中にWalmartで買ってきたのだ。なお、日本でも1ヶ月遅れくらいで発売されたのでわざわざアメリカで買う意味はあまりなかった。値段も似たようなものだったと思う(2万円弱くらい)。

fitbit charge3

このfitbit chargeシリーズはとても気に入って、以降charge4、charge5と乗り換えて最近まで使っていた。スリムで右手首に着けていてもあまり主張せず、それでいて安っぽさはないデザインで機能的にも必要最小限のものがきっちり抑えられていて、とても優れた製品だと思う。ただデバイスの耐久性にはやや難があって、だいたい2年くらい、ちょうど新製品が出るくらいのタイミングで壊れる。価格とのバランスで、それくらいの寿命として設計しているのだろう。charge4以降はGPSが内臓になり、ペアリングしたスマホがなくても単独で測位ができるようになった。ただ記録したいアクティビティ(自転車とかランニングとか)でスマホを持っていないことはないので、個人的には別にいらなかったかな、と思う。charge5では表示がカラーになって、常時表示にも対応するようになった。それもあってcharge5を使い始めた頃から腕時計との併用をやめて、左手首にcharge5を着けて腕時計は持たないスタイルに改めた。ただ結局常時表示は使っていない。この何年かで通知が来た時などに手首を返す動作をして、一呼吸おいてから表示に目をやるという動きにも馴れてあまり不便を感じなくなっていて、バッテリー消費を増やしてまで常時表示するメリットは実感できなくなってしまった。

先に書いた通り、元々は自転車に乗っている間の心拍数を計りたいという動機で使い始めたわけだが、加速度センサーで得られる身体の動きや心拍を常時モニターして記録しているので、記録を見返してみると色々と面白いことが見えてくる。歩数や階段の昇降階数くらいだとスマホ(今時は加速度センサーと健康管理アプリくらいは標準で入っている)でも似たようなデータは取れるけど、寝ている間も身につけていることで睡眠の時間や質(深さ)を計測、記録することが可能になっていて、こうしたデバイスでは睡眠トラッキングが目玉機能の一つになっていたりする。それまで睡眠の「質」なんて余り気にしたこともなかったけど、定量的な記録として残ったものを普段から確認することで意識して睡眠時間を確保したり、睡眠の質を上げるため入眠前の行動に気をつけたりするようになった。どれほどの効果があるのかは分からないけど、何となく昼間眠たくて仕方ないということは少なくなったような気はする。

さて、最初のすぐに壊れた中華製の後はずっとfitbitの製品を気に入って使っていたのだけど、半年ほど前からはもう一つの有力メーカー、Garminの製品を使っている。fitbitのchargeシリーズと似たような価格帯、機能の製品もあるのだけど、選んだのはかなり高機能なInstinct Crossoverという製品だ。お値段も約7万円とApple Watchの普及帯と同じくらいする。それでいてApple Watchみたいに色んなアプリを入れてあれこれできるわけではなく、単体で通話できるわけでもなく、表示はモノクロでタッチパネルすら付いていない。そんな端末だけど、非常に満足して、めちゃくちゃ気に入って使っているのだ。

Instinct Crossover

他人にお勧めできるかと言えば、かなり人を選ぶことになる。ロードバイクの各種センサーとANT+で接続してサイクルコンピューターとして使えるとか、筋トレの種類、回数を自動判定して記録してくれるとか、GPSで取得した位置情報を緯度経度だけでなくMGRS(UTMグリッド)で記録できるとか、そうしたワードにグッと来るマニアな人たちを除く大多数の普通の人にとってはただ高いだけのゴツい時計でしかないだろう。マニアな人は全力で買って後悔はしないと思う。

なお、写真を見ると普通に長針短針の付いたアナログ時計のように見えるけど実際にその通りで、ちゃんと機械的に動く針が付いていてその背景に液晶表示があるのだ。スマートウォッチ的に様々な情報を表示する際には表示の邪魔にならないように針が水平位置に移動するギミックを備えている。わざわざそんなギミックを用意してまで機械的な針を用意しなくても、時計画像の一つとして用意しておけばいいだけなんじゃないかという感想は当然出てくるだろう。その通りだ。そういう人は普通のアナログ時計か普通のスマートウォッチを買った方がいい。このギミックにグッと来るマニアな(以下略)。

幸いなことに生活は安定して家族も皆元気で、この年齢になってようやく生活必需品ではないマニアックなデバイスに大枚をはたける経済的な余裕もできた。左手首に目をやって時刻や歩数なんかを確認するたび、「うん、いいなあ」とニヤニヤしている。ありがたいことだ。

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