我が家のトイレには、もう何年も前から「液体ブルーレットおくだけ」が置いてある。小林製薬のヒット商品で、トイレのタンク上部、手洗い用の水がタンクに落ちる穴に差しておくだけというお手軽さが売りだ。洗浄液がなくなれば、付け替え用のカートリッジを買ってきて付け替えるだけでいい。どの程度効果があるのかは正直よく分からないが、この際それはどうでもいい。以前愛用していた、カートリッジが2分割されていて洗浄液が2種類入っているタイプのものが最近近所のホームセンターでは手に入らなくなったけど、それもどうでもいい。洗浄液の色も青だけじゃなく緑やピンクもあって、今の製品は水にはあまり色が付かないので「ブルーレット」というネーミングがそもそもどうなんだという気もするがそんなことは更にどうでもいい。ずっと気になっているのは、どうやって洗浄液を少しずつタンクに落としているかというその仕組みだ。
必要な洗浄液の濃さは一定のはずなので、タンクに落ちる水の量と洗浄液の量が一定の比になるようにしているはずだ。洗浄剤が固体であれば、何も難しい事はない。水が当たって表面が少しずつ溶けて水と一緒にタンクに落ちるので、水が当たらなければ減らないし、水が流れた時だけ必要な分が溶け出すことになる。細かいことを言えばだんだん減ってくると表面積が小さくなるので薄くなるだろうが、内側ほど溶けやすく調整することで濃さを一定に近づけるのはそれほど難しくないだろう。
では液体ではどうか。水が流れていないときは洗浄液を漏らさず、水が流れている間だけ水に対して一定の割合で洗浄液を出すのはどういう仕組みだろう。見たところ、洗浄液はどろっとしていて、水よりは比重が大きそうだ。カートリッジの頂部、流れる水が当たる位置には窪みのようなものがあるのでそこから少しずつ水が入っているのかとも思ったが、それならば水が流れている間はカートリッジ内の上の方に水が溜まるはずだ。見分けが付かないくらい一瞬で洗浄液と混じり合ってしまうとしても、それならば少なくとも一時的に洗浄液の水位が上がるはずだ。観察の結果、そうはなっていない。つまり、カートリッジの上から水が入っているという仮説は間違っている可能性が高い。
となると、カートリッジの下のところで洗浄液と水が混合しているか、あるいは水の流れはトリガーになっているだけでカートリッジの中に水が入り込むことはないのかどちらかである。インターネットで検索できる範囲でざっとリサーチしてみたが、公式の説明は見付けられなかった。特許にしてもとっくに公開されているはずだが、あまり興味のある人がいないのだろうか。質問回答サイトや個人のブログなどで解説しているものはいくつか見付けたが、どれも納得いく説明ではない。唯一科学的に見えたのは、カートリッジの下に水が溜まる皿があり、水がかかることでその皿に水が溜まるとともに、洗浄液が水で冷やされることで収縮し、内圧が下がるために皿に溜まった水を吸い上げて洗浄液と混ざり、水の流れが止まると膨張してその分洗浄液が出てタンクに落ちるという説明だ。すごい。そんなメカニズムだったのか、と思わず納得しかけたが、よく考えてみるとこれはおかしい。
この説明の通りだと、カートリッジの中の洗浄液は少しずつ水が混じることでだんだん薄くなる。つまり、比重はだんだん小さくなる。水の流れが止まった後にどこまで洗浄液が出るかは大気圧と洗浄液の質量がバランスするところで決まるので、比重が小さくなる分バランスする体積は大きくなる。つまり、洗浄液の水位は下がらないことになる。洗浄液の比重が水より小さいとすればその部分は矛盾なく説明できる。ところが、ある程度洗浄液が減ったとき、カートリッジの上の部分にある空間は真空ということになる。水より遙かに重い水銀ですら、大気圧で760mmも上がるのだ。あの小さなカートリッジで真空部分ができることはあり得ない。
カートリッジの下から入るのが水ではなく、空気だとしたら少しずつ洗浄液が減っていくことがもう少しシンプルに説明できる。そう思って注意して観察してみたが、カートリッジの中で下から気泡が上がる現象は遂に確認できなかった。やはり、下からカートリッジ内に何かが入っていると言う説明には無理がある。
では、水の流れをトリガーにして洗浄液を少しずつ流す方法を考えてみよう。簡単に思い付くのは、洗浄液の出口に弁を設け、水が流れている間だけ弁を開けるという方法だ。水の流れで弁を操作するのは難しくはないだろう。問題はやはり真空で、カートリッジ内にどこかから空気を入れてやらないと、弁を開けても洗浄液が落ちなくなってしまう。先ほど書いた通り、下から気泡が上がる現象は観察できない。となれば、カートリッジの頂部にある窪みのようなものがポイントになるのではないか。水は通さないけど空気(水蒸気)は通す、というのは衣類の防水処理などでも普通にある。水の分子も空気(窒素や酸素)の分子も大きさはそれほど変わらないが、液体の水は分子同士がくっついているから単体の分子が通れるすき間も通れないのだ。水がじゃんじゃんかかっている最中に空気だけを通すというのは難しいかもしれないが、別に空気を通すのは水が止まってからだっていいのだ。
長々と考察してきたが、ごちゃごちゃ考える前に実物を分解してみたら話は早い。付け替え用のカートリッジを買う代わりに、下の台まで付いたセットを買えばいいだけである。価格差は数百円だろう。プラスチック製なので、分解も難しくはないはずだ。いつか実行してみようとは思っているのだが、買い物に行く時に覚えていないのだ。高価でも入手困難でもない実物を分解することもなく馬鹿みたいな駄文を垂れ流すのはまことにもって非合理的だ。
斯様に、人の行動というのは常に合理的とは限らないのだ。(開き直り)
私も不思議に思い、ネット検索したらここにたどり着きました。
答えは出ましたか?
私は、使い方が良くわからず
初め1週間ぐらい何も中身が減っていないようだったので
取説をよく見たら、「セットしたら入れ物を2−3回凹むまで押してください。」と書いてありました。
そのようにしてから水を流して、よく見ていると
下から小さな気泡が上がってくるのが見えました。
ですので水が混ざるのではなく、中身が少し出て
その分の空気が入っているのだと思います。
その仕組みが分からないのですが
何か分かったら教えてください。
実はその後さらに観察したところ、確かに気泡が上がるのを確認しました。また、壊す覚悟で実際に分解してみたところ機械的な弁のような構造も水が溜まる皿もありませんでした。
つまり本文で書いた考察はほぼ全て間違っていて、恐らくカートリッジを装着した状態では下の方に僅かな隙間があって水が流れていない時は洗浄液の表面張力で止まっていて、水が流れると吸い出される形で一緒に流れ、ある程度洗浄液が減るとカートリッジ内が負圧になるため下部の隙間から空気が入るのだと思います。
ちなみに、分解は結果的に完全に非破壊的に行うことができ、問題なく組み直すことができました。分解したパーツの写真も撮っていたのですが、この実証実験の価値を理解しない家族によって削除されてしまいました(子供が撮ったと思ったらしい)。
こんにちは。
同じ疑問を持つ人がいて嬉しいです。
水がかかる。
水温および水の気化熱でカートリッジ内の気体の温度が下がり体積が減る。
外から空気が入る。
徐々にカートリッジ内の気体の温度が戻り体積が増える。
ブルーレット溶液が外に出る。
という仮説はいかがでしょうか。
水がかからなくとも一日の寒暖差だけでも徐々に溶液が出る気もします。
この仮説は前から感じていた
「買ったばかりの時はなかなか減らないのに、途中から減るスピードがやけに速くなるような気がする」
という疑問への答えとして考えてみました。
モリシー様、コメントに気付くのが遅くなってしまいました。
確かにそのメカニズムでも現象は説明できますが、その場合洗浄液が出るのは水が流れている間ではなく、水が止まった後になります。また1回のフラッシングで出る洗浄液の量が気温や水温に大きく依存してしまい、さらにご指摘の通り新しい間は少しずつしか出ず、後になるほどたくさん出る事になります。
本来、必要な洗浄液の濃度は一定のはずなので、最初から濃度を一定にできないようなメカニズムを採用することは設計の思想として可能性が低いと思います。
結果的に完全に濃度を一定に保つことができず、「買ったばかりの時はなかなか減らないのに、途中から減るスピードがやけに速くなるような気がする」のが事実だとしても、濃度を一定に保つのは最重要の設計要求のはずなので、何らかの工夫を凝らすのが設計者だと思います。
先のコメントに書いた通り、表面張力を利用しているというのが私の結論です。
こんにちは。
お返事ありがとうございます。
ご指摘もっともです。
前回書き込みをした後、ちょうどカートリッジを交換したので液体の減り具合を観察するとともに、この話題の載ったサイトを色々と見てみました。
まず減り具合は私の印象よりずっと長い間水位がほとんど変化せず、ラストになって急激に減るようです。
またいくつかのサイトに「最初水位が減らないのは溶液が出ると同時に水が中に入るからで、このことは製品のパッケージにも書いてある」とあり、確かにそのような記述が印刷されていました。
以上2点から、私が「空気だけが入る」と思っていたのは勘違いで最初の内は入るのはもっぱら水で、空気は最後に入るようです。
でも水が入るメカニズムについて考えているサイトはこのブログ以外には見当たらず、溶液の粘性について触れた書き込みが少しあった程度です。
改めて私の仮説です。
カートリッジ下部の接合部分、すなわち溶液の出口はとてもせまいため、出口に水が存在しないときには溶液の比較的高い表面張力もしくは粘性によって溶液は落ちてこない。
水がかかり溶液の出口が濡れると、溶液と水の比重の違いにより出口の狭いすき間において入れ替わりがおこる。ちょうど水と油の「砂時計」の様に。
上からの水が止まるとやがて溶液の出口に水が無くなり、溶液は落ちなくなる。
中に入った水は比重が軽いためカートリッジの上部にたまり、溶液は下部にたまる。
これが繰り返されることによって毎回一定量の溶液がカートリッジから出る。
溶液が出尽くしてカートリッジの内部が水だけになると、水の比較的低い表面張力もしくは粘性によって、出口がせまくても水と空気の交換が起こり、上から水が流されているかどうかにかかわらずどんどん内部の水が出て急激に水位が減る。
すなわち溶液と水の表面張力、粘性、比重を考慮してカートリッジとベース部分のはまり具合が正確に設計されている。
いかがでしょうか。
「最後ににおいが強烈になる。」という書き込みもあるので、最後に出るのは水だけでなく、拡散によって水と混ざった溶液がいっきに出るのかもしれません。
ご批判よろしくお願いします。
液体ブルーレット置くだけのQ&Aに、除菌とレギュラーのカートリッジの互換性がなく、除菌には、除菌用をとの解答がありました。
これは、粘性と通過する穴径との関係が影響する為でしょうか?
因みに除菌用にレギュラーのカートリッジを使うと3週間程で交換するようになりました。
除菌用に除菌カートリッジを使っていた時の方が、もちが良かったような気がします。定かでは、ないので悪しからず。
本日「液体ブルーレットおくだけ」デビューした者です。使用開始と同時に疑問が湧きはじめ、検索したところ、ここにたどり着きました。まさか表面張力と水の兼ね合いとは!となると、カートリッジや脚の形も、水流との兼ね合いを考え尽くした末の形状なのでしようね。私もこれから自分の「液体ブルーレットおくだけ」を観察してみようと思います。
「本体に直接水がかからなくても使えます」って注意書きがあるので水は関係無いのかなって思いますが不思議ですね
2019年になっても公式見解が出ないのが謎過ぎますね・・ヤフー知恵袋でも似たような質問多発してますし