今回の旅行中、現金はほとんど使わなかった。使ったのはオランダではアムステルダム中央駅の有料トイレを使った時、イギリスでは2回ほどコインランドリーを使った時だけだ。紙幣は全く使っていない。他は全てクレジットカードで決済した。
ヨーロッパではごく一部の国を除いて早くからクレジットカードが普及していて、特にユーロ導入後のユーロ圏内ではだいたいどこでも日本と比べるとクレジットカードの使い勝手は良かったと思う。デンマークやオランダなど国内ではクレジットカード以上にデビットが広く使われている国もあるけど、それでもクレジットカードもかなり広範囲で使える。ICチップやコンタクトレス(NFCによる非接触式)など新技術の導入も早く、最近は磁気ストライプだけどのカードは使えない所も多い。
事前のリサーチでは、イギリスではコンタクトレスの決済端末が普及しているけどオランダではデビットカードばかりでクレジットカードは使えない場合が多いとのことだった。オランダはアムステルダムに2日滞在するだけの予定だったので、外国人の多い場所だけなのでクレジットカードが使えないことはそんなにないだろうとあまり心配はしていなかった。実際にはほとんどの店舗や自販機がクレジットカードに対応していた。決済端末は複数の方式に対応したものがほとんどだったけど、磁気ストライプのリーダーはなかったように思う。見た感じ少額決済では半分くらいの人はコンタクトレスで支払っている感じだった。デビットカードだとICチップ入りクレジットカードと同様決済時にPINの入力が必要なので、デビットカードを持っているオランダ人にしてもタッチだけで済むコンタクトレスの方が便利なんだと思う。
アムステルダムで泊まったのはBooking.comには「ホテル」として登録されていたけど実際には民泊と呼ぶべきところだったけど、そこでの決済はスマホと携帯型リーダーを使ったクレジットカード決済だった。スマホの画面にサインをしたので、もしかすると読み取りはICチップではなく磁気ストライプだったのかもしれない。そう言えばサインをしたのはイギリスも含めてその1回だけだ。
イギリスではリサーチ通り、どこでもコンタクトレスに対応した決済端末が置いてあった。バスやチューブの乗車にそのまま使えるのはコンタクトレスだけだが、決済端末ではコンタクトレスにしか対応していないというものはなく、全てICチップ式での使えるようになっていた。コンタクトレスであればマークの所にタッチ、ICチップであればスリットに差し込んでPINを入力という形が多かった。タクシーも客席側に決済端末が固定してあって、運転手とカードをやりとりする必要はなかった。なお、タクシーではチップをいくらにするか3パターンくらいから選べるようになっていて、自分で計算しなくても簡単にチップ込みで払えるようになっていた。
レストランでは当然クレジットカードが使えるけど、支払いは席でしてもレシートをレジスターに持って行ってそこでしてもどちらでもできるようになっている場合が多かった。席で支払う場合はウエイターが携帯端末を持ってきてくれる。チップを入れて払う場合には何らかの方法でチップの額を指定するようになっているんだと思うけど、今回の旅行ではレストランはどこも請求に予めサービス料が入っていたのでチップを払う機会はなかった。
レンタカーを借りた時は、最低限の保険だけで付帯の保険や免責保証を一切付けなかったので、貸出前に料金の他に補償関係の色々をデポジットとして決済させられた。これらは何もなければ請求されることはないけど、何かあっても改めてサインしたりする必要はない。業者からすれば、仮に逃げられても(あるいは事故で死亡したりしても)取りっぱぐれる心配がない。ホテルのオンライン予約などでもよく使われるこのデポジット、いい仕組みだと思うのだが何故か日本ではあまり使われていない。飲食店の無連絡キャンセル対策にもいいと思うんだけど。
クレジットカードは世界共通のシステムなので、旅行者であっても現地の通貨に両替したりスマホに個別のアプリをインストールしたりしなくても普段使っているカードをそのまま使えるので非常に便利だ。日本は先進国の中では例外的に現金主義なのでまずは普及を促すため導入コストの低いQRコード決済に頼りたくなる気持ちも分からなくはないが、インバウンド(中国を除く)を狙いに行くのであればクレジットカード、それも今ならコンタクトレスを導入しない手はないはずだ。
利便性よりもサービス提供側の都合ばかり優先して似たような独自サービスが乱立する現状を放置したままでは世界から立ち後れて、結局日本全体が損をすることになると思う。ただこういうことは外国に行って自分が外国人の立場になる経験をしなければなかなか実感できない。もっと多くの若い日本人が海外に出るようになって欲しい。