太郎はいつも、近所の親戚がやっている美容院(家から徒歩5分)で髪を切ってもらっています。たろ父のいとこに当たるのこちゃんが切ってくれるのですが、のこちゃんは長めの髪型が好きらしく、前髪や頭頂部はいつも長めに残しています。
去年の夏頃、一度思い切ってバッサリ短くしてもらったのですが、美容院なので普段はバリカンを使うことが無く、何年もしまい込んでいた古いバリカンを出してきてくれたのですが充電式のそれはバッテリーがヘタっていて作業中に止まってしまい、大騒ぎでした。
今年も夏を控え、運動会もあるので短くすることにしました。去年の反省から電器屋でコード式のバリカンを買い求め、事前に美容院に預けてあります。そして昨日、一人で出かけた太郎に少し遅れてたろ父が美容院に行ってみると、のこちゃんは他のお客さんに掛かっていて太郎は一人で雑誌の手相占いなんぞを読んでいました。たろ父は手持ちぶさただったのでバリカンの説明書を読んでいたのですが、家庭用のものなので説明書には散髪の仕方なども丁寧に書いてあります。読んでいるうちに自分でも出来るような気になってきて、待っている間に自分でやってみることにしました。ちょっとくらい失敗しても、のこちゃんがきっと何とかしてくれるでしょう。
最初のうちは失敗しても手直しし易いように長め長めで刈っていたのですが、やっているうちにだんだん気が大きくなってきてアタッチメントを取っ替え引っ替えしながらバッサバッサ刈っていきました。一通り終わって見てみると、右側だけならなかなか良い感じです。正面から見てもそんなに変には見えません。でも後ろから見ると、あからさまに左右の形が違うし、左側は所々虎刈りになっていて特に耳の周りがちょっと大変なことになっていました。しかも最後の方は調子に乗って6mmのアタッチメントで刈り上げたので、修正できる余地はほとんどありません。後はのこちゃんに何とかしてもらうしかありません。
バトンタッチしたのこちゃんはしばし絶句して固まっていましたが、それでもハサミを手に取りかかってくれました。他の美容師さんもそこはこうしてああしたら、とか口を出し、太郎は何が可笑しいのかケタケタ笑って頭が動くのでたろ父が押さえつけ、皆で大騒ぎしながら修正してもらいました。さすがにプロの技で、見事に虎刈りを消してくれました。ちょっと不自然に薄いところもありますが、何日かで目立たなくなるでしょう。すっかり男の子らしくなった太郎もまんざらでもなさそうです。
たろ父の自己評価としては、初めてにしてはなかなかの出来だったと思います。誰も同意してくれないのが不本意ですが、次はきっともっと上手に出来るはずです。太郎は嫌がるかな。なに、イザとなれば丸刈りにしてしまえば…