英語社内公用語化

投稿者: | 2010年8月25日

楽天が社内の公用語を英語にすると発表したことで、色々反応があります。一企業の社内ルールに対して外部の人間がとやかく言う筋合いはありませんが、反応の大きさはビジネスにおける英語の必要性自体は認識されているものの、苦手意識のある人が多いということの裏返しかもしれません。
個人的には、英語が必ずしも必要ない業種もあるし、絶対に必要なところは既に導入しているだろうし、要は各社が必要に応じて必要な範囲で実施すればいいだけだと思っています。気になったのは、反対派の意見でやたらと自国語への誇りを持つべし、みたいな論調が目立つことです。
日経新聞Web版のコラムでも日本電産の創業者が書いていましたが、英語に堪能なヨーロッパの首脳が公式の場では自国語で演説することを挙げ、日本人ももっと日本語に誇りを持つべきだと論じています。もっともなご意見ですが、国同士の首脳会談とビジネスでは事情が違います。そもそも、自国語や自国文化に誇りを持つことと、ビジネスの場で共通のルールや言語に従うことは全く矛盾しません。また、誤解を避けるために重要な場で外国語の使用は避けるべき、というような話も何度か目にしましたが、これもおかしいでしょう。国際ビジネスにおいて英語で会議なり契約なりをする場合、自分が発言するにせよ通訳が訳すにせよ、議事録なり契約書なりに残る公的な文書は英語になります。日本語でどれだけ素晴らしい作文をしてもあまり意味はなく、むしろ公的な記録の出来映えを通訳という自分以外の人に委ねることになります。全幅の信頼を置ける専属の通訳を常時抱えているならともかく、一般的には通訳の技量にはばらつきがあります。誤解を避けるためには、自分で英語にするか、あるいは誰かに訳してもらったものを事前にチェックするべきでしょう。
たろ父がたまに行くOECD等の国際機関では当然公用語は英語ですが、別に他の言語が禁止されているわけではありません。記録さえ英語で残せば、会議の参加者全員が理解できれば何語で会議をしても問題ありません。普通はわざわざ確認するのが面倒なので最初から英語でやってしまいますが、だから自国語に誇りを持っていないなんてことはもちろんありません。たろ父のいる業界は官も民も海外と交渉する機会が多い方だと思いますが、それでも英語が苦手な人は多いです。交渉に当たる人の英語がマズイというだけのことで何らかの不利益を被ることも間々あります。会議での交渉力は語学だけによるものではありませんが、語学を含めたディスカッション能力の低さのために日本全体で見ればかなり損をしているのではないでしょうか。
他の業界のことは分かりませんが、語学と交渉力の鍛錬が必要なのに足りていない人は原子力業界だけでもかなりいると思います。たろ父もあんまり偉そうな事は言えませんけどね。

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