自転車(補助輪なし)

投稿者: | 2006年9月19日

今年の夏頃から、補助輪なしで自転車に乗る練習をしている。初めは団地の敷地内で、芝生になっている所でだけ練習していた。勢いをつけてやればある程度自分で漕いで直進でき、ブレーキをかけてこけずに止まれるようになってから団地の敷地を出て舗装された歩道に出てみた。芝生に比べると抵抗が少なく、直進性も良いので乗り易いけど、こけたらそれなりのダメージは覚悟しなければならない。実際にやってみると、補助輪なしで道路を走れるというのが嬉しいらしく、何度か転んでちょっとばかり痛い思いをしても凹むことなく、「自転車の練習するか?」と声をかけるといつも喜んでついて来るようになった。
しばらくは練習のたびに補助輪を外して、終わればまた付けるというのを繰り返していたのだが、いい加減面倒臭くなったので舗装路面で曲がって止まることができるようになったのを機にスタンドを買ってきて、補助輪はしまい込んでしまった。まだ静止状態から1人で漕ぎ出してバランスを取れるスピードまで加速するということができないので、止まる度に再び走り出す時には後ろから押してやらないといけない。走り出しても、まだかなりフラフラしているし、突然ペダルから足が外れてパニクったり、縁石などの静止物に正面から激突したりするので外の道ではずっと横についていないと危ない。それでも本人はすっかり乗れる気になっているので、このところどこに行くのも「じぶんのじてんしゃでいく」と言うようになった。
下手くそでも何でも練習しないことにはいつまでも上達しないので、折をみて近所の公園やちょっとした買い物なんかに自転車で行く練習をしていた。併走する父は当然徒歩である。直線コースだと結構なスピードで突っ走ってくれるので、その、正直なところしんどいのだ。しかも、こけそうになると横を走っている父に掴みかかろうとするので上手く押さえられないと自転車が足に当たって痛い痛いのである。ヘタレな父としては、せめて自分も自転車で併走できるように早くならないものかと、タイミングを覗っていたのである。
先日、来月の運動会でやるリレーの練習ということで近所の公園のジョギングコースを走りに行った時のことだ。公園までは例によって太郎は自転車、父は徒歩で併走して行った。ジョギングコースは1km弱なのだが、このときの太郎はヘタレで、すぐに歩いたり、止まったりして全然真面目に走らなかった。そこでゴール近くの、ある程度見通しが利くところまで来てから太郎を引き離してずっと先まで走ってやった。ちょっとは頑張って付いて来ようとした太郎だったが、なかなか追い付かないので泣き出してしまった。全く以ってヘタレである。結局ゴールで待つ父のところには来ず、拗ねてコース横の噴水のあたりでウジウジしている。しばらく放置してから話に行ってみたが、すっかりへそを曲げてしまっている。こちらも少し突き放して、「だったら勝手にしろ」というような事を言ったところ、「たろうくん、ひとりでかえるもん。おとうさんなんか…」と、何を言ったかは忘れてしまったが、とにかく捨て台詞(?)を吐いて1人で帰る決心をしたようである。
自分でヘルメットを被り、番号式のチェーン錠も外し、自転車に跨って、そこではたと気付いたようである。まだ自分ひとりでは漕ぎ出せないのだ。一瞬父を振り返るが、今さら父には頼れない。しばらく躊躇した後、地面を蹴って前に出、ふらつきながらもペダルに足を乗せて漕ぎ出して、こけずにちゃんと走り出せたのだ。
(やった)
後ろで見守っていた父も嬉しかったが、太郎の喜びと自信は背中越しにもはっきりと見て取れた。公園内は車もおらず、危険も少ないので敢えて距離を開けてついて行った。公園の出口の横断歩道の手前でちゃんとブレーキをかけて停止する。駐車場のゲートから出てくる車を10台近くやり過ごし、再び地面を蹴って慎重にスタート。今度は更にスムーズにスピードに乗る。そこからは一般道なので手の届く距離で併走するが、既に拗ねていたことなど忘れているようで嬉々としてペダルを漕いでいる。結局、大きな道を横断する時に一度スタートの補助をした以外は完全に1人で家まで帰ってきた。1km程の道のりだが、太郎にとってはかなりの冒険である。帰り着いてから褒めてやると、鼻の穴を膨らませて得意満面である。その根性をリレーの練習でもちょっとくらい以下略なのだが、「たろうくん、もうおとなといっしょののりかた、できるねん」とは自惚れにもほどがあるので身の程をわきまえるように。
ところで、このときの太郎は父への対抗心(拗ねてただけ)と、1人で自転車の運転を完結できた喜びからかなりのペースで飛ばしていた。距離が短かったから何とか最後まで付いて行けたけど、そろそろ限界である。次から、お父さんも自転車で着いていっていいですか?

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