太郎もあと1年足らずで小学校入学。小学校といえばランドセルである。ランドセルという言葉はオランダ語の”Ransel”から来ていて、軍隊で使う背嚢のことだ。最近のものはクラリーノという人工皮革製が多く、見た目よりは随分と軽い。ちなみに、この素材を開発したのはクラレという日本のメーカーなのだが、海外には卸していないそうで、クラリーノ製のランドセルは全て国産とのことである。そういう訳で珍しく中国製品との競合に晒されてこなかった国内ランドセル業界だが、ここにきてトップシェアのセイバンというメーカーの攻勢で版図が大きく塗り替えられようとしているらしい。
「天使のはね」という名前で売っているその主力製品は形紐の留め金部分の形状に工夫がしてあって、疲れにくいのがセールスポイントらしい。テレビCFなんかも積極的に打っていて、とにかく大人気なのだそうだ。
と、今調べたことを偉そうに並べ立てるのは一休みして、その話題のテレビCFである。見たことはないのだが、太郎はどこかで聞き覚えてきてよく口ずさんでいる。「ててて天使のは～ね」とか何とかいうのだと思うが、太郎が歌うと初めの「て」の連続が何故か「ぺ」になってしまう。
「ぺぺ、ペテン師のは～ね」
そんなの買いたくないぞ。