排出された腸内発生ガスの拡散モデルと到達距離に関する考察

投稿者: | 2011年11月28日

ヒトの腸内には体外より取り込まれた窒素、酸素などの気体に加え、微生物により生成されたメタン、水素等より成る腸内gasが存在する。これらの大部分は腸壁より吸収されるが、一部が肛門より排出され、一般には屁、おならなどと呼称される。
平均的な成人で通常0.5から1.5Lを5回から20回に渡って放出するとされ、20times/day程度の頻度は正常範囲内にあると推定される。したがって、この程度の放出回数をもって「よく屁をこく」、「屁こき」などと揶揄することは極めて不適切であると考えられる。

尚、腸内gasの9割程度は体外から取り込んだ気体であり、無味無臭かつ無害である。微生物由来の気体も多くは無臭であるが、一部に臭気をもつ気体があり、これが放出されたgasの臭気のsourceとなっている。

腸内gasが肛門より放出されると、直後には高濃度のgasが肛門近傍に存在するが、やがて分子運動により拡散する。分子運動の速度は絶対温度に比例し、酸素分子であれば摂氏0度で376.6m/sの中央値を取る。実際の拡散に於いては分子同士のcollisionを考慮する必要があり、気体分子運動論によれば気体分子の根平均2乗速度はBoltzmann定数、気体定数、絶対温度ならびに分子量で与えられる。拡散速度の詳細な検討は省略するが、等考察に於いては用語や数値等の正確性を担保するものではなく、これらを引用または再利用した際に生じる一切の弊害について筆者は責任を負わない。

空気の流れのない場合、gasの拡散は全方位に発生すると考えられ、濃度は放出源からの距離の3乗に逆比例して低下する。1回の放出量を0.1Lと仮定すると、半径2.88cmの球形で模擬できる。これが2m先に到達するとき、濃度は2.99×10^-6となる。この距離2mにおける影響度、つまり臭いの強さを1と再定義し、更に距離を離した際の影響度を無次元量で評価する。
距離xmに対し、(2/x)^3で与えられるので、距離5mで0.064、距離10mで0.008、20mでは0.001となる。つまり20m先に到達する際には影響度は距離2mの0.1%まで希釈されており、ほぼ気付かれる危険はないと思われる。

以上より、半径20m以内の範囲に概ね20秒以内に他人が立ち入る可能性が十分に低い場合、音さえ出さなければ気付かれる危険は極めて低いと推定される。また、20mの離隔を取るのが困難な状況に於いては、1回当たりの放出量をコントロールし、それぞれ数秒から10秒程度の間隔を開けて数回に分けて放出することで、影響の強さを回数の逆数に比例して下げることが可能である。

筆者の職場環境に於いては、真後ろおよび両隣の席が不在であれば最低離隔約5mが確保できるため、緊急時に於いては自席での放出も十分な注意をもって行えば可能である。尚、音を立てずに少量ずつreleaseするのは一定のtechnicを要する。繰り返すが、これを試行した結果何らかの不利益を被ったとしても筆者は一切の責任を負うものではない。

排出された腸内発生ガスの拡散モデルと到達距離に関する考察」への2件のフィードバック

  1. けんじ

    面白いです。
    病原体の拡散について調べていました。
    「排便前のおならは臭い」のは、濃度のせいでしょうか?
    冬のおならと夏のおならは、どちらが遠くに飛ぶか?
    夏ですかね?けど希釈されてしまうから問題なしか。
    冬は逆に拡散しないから、高濃度でとどまるのでかえってやばいとか(^_^)

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