土曜日は関空で行われた「みんなで造ろう空港島」というイベントに行きました。現在の空港島の沖合に造成している2期島を会場としたイベントで、毎年夏にやっているそうです。今回の目玉の1つは飛行船です。乗せてくれるわけではありませんが、係留している飛行船を間近に見ることができるのです。デモ飛行もやっていました。
ところが太郎は、飛行船が怖いのです。遠くから見ている間は喜んでいたのですが、いざ近くに寄るとすっかりビビッてしまい、推力装置のプロペラが回っているのを見るに及んでパニックに陥りました。
「うごいてる。うごいてる。はやく、にげよう。ばくはつする~」
もしかすると前世ではツェッペリンの爆発事故で死んだのかもしれません。更に、プレスのヘリコプターが飛行船を撮るためでしょうか、イベント会場の周囲を低空でホバリングしていたのですがこれがまた怖かったらしく、地面に映るヘリコプターの影から逃げようとしてヘリの進行方向に向かって走り、影に追いかけられる形になって泣きそうに、てか、泣いてました。前世でヘリからの機銃掃射を受けたことがあるのでしょうか。後になって落ち着いてから、遠くを飛んでいるヘリを見て安心したようににっこり笑ってこう言っていました。
「あんなとおくでとんでる。あのへりこぷた、へたやな。ばくだんおとすの」
何か激しい勘違いをしているようです。
翌日の日曜日、奈良は東大寺に念願の大仏を見に行きました。大きい物の喩えに「だいぶつさまより、おおきい」を多用する太郎、遂に実物に対面です。小さい頃から神社仏閣に親しみ、仏壇やお地蔵様に自然に手を合わせることができる太郎は、薄暗い大仏殿の中に鎮座する大仏の圧倒的な存在感にも、仁王像の憤怒の形相にも全く怖がることはありません。ところが。
あろうことか、鹿が怖いのです。奈良公園という所は、至る所に鹿がいます。鹿せんべい、なんてものが随所で売っていて、鹿に食べさせることができます。出産期や発情期は多少危険があるという注意書きは立っているものの、柵があるわけでもなく、子供でも安心して触れ合うことができるようになっています。よちよち歩きやバギーに乗った赤ちゃんを含め、誰一人怖がって泣いている子なんていません。そう、この4歳の男の子を除いては。
ちなみに、太郎は0歳の時にも奈良公園に来たことがあり、その時は鹿が鼻先50cmまで顔を近づけても平気な顔をしていました。それが今は、鹿が半径10mに近づいただけで親の手を握る手のひらにじっとりと汗をかき、5mまで近づくと「イヤ、イヤ」と叫んで必死に逃げようとします。先に書いたとおり奈良公園というところはどこにでも鹿がいるので、鹿を避けて歩くにも限界があります。何かの拍子に鹿に囲まれてしまった時は完全にパニクって、泣き叫びながら逃げ回っていました。ごめんよ、大笑いして。
そう言えば、犬も怖いし、猫も怖がるし、雷が鳴ったら固まってるし、これはその、前世がどうとかじゃなくて、あれだ。怖がりなんだ、太郎は。本人も気にしているようで、「たろうくん、こわくなくなりたいな」と言っています。これをお読みの関係者の皆様、ほとぼりが冷めるまでは、あまり触れないようにしてあげて下さい。
と言いつつWebにアップする父であった。