太郎の喋り好きは今に始まったことでもないし、この年頃の子供は多かれ少なかれ誰でもこういう傾向はあると思う。それにしても、よくこれだけ喋り続けられるものだ。とにかく、一人で何かの作業に集中している時以外はずーっと喋り続けている。しかも、聞き手がちゃんと聴いていないと不満なのだ。いい加減な生返事でもしようものなら、「もうっ、たろうくんのおはなし、きいてないの?」と泣き出さんばかりの勢いで抗議してくる。手が離せない用事があって聞いていられない時など、「お父さん、今大事な用事してるから、ちょっと待ってな」と言えば一応は納得してくれるのだが「あー、そやな。おとうさん、ちゃんとようじしぃや。ねぇおとうさん、」と全く意に介さず喋りつづけるのだ。どうでもいいけど何でそんなに偉そうですか。
食事の時も大変だ。最近またよく食べるようになったのだが、喋るのに夢中になりすぎるとすぐ食べるほうがお留守になる。促すとすぐまた食べ始めるのだが、ちょっと気を抜くと箸を置いて身振り手振りを交えて熱弁し出す。わざとやっているわけでもなく、本当に夢中になって食べているのを忘れてしまうらしい。実は、私も子供の頃は同じことを言われていた。両親によると、炒飯など”頭を使わなくても”食べられるものだと普段の何倍もの早さで食べたらしい。喋るのに精一杯で食べるほうまで頭が回らなかったということか。ま、あまり利発な子ではなかった。今でもそうだが。まったく、しょうもないところばかり似るものである。
話の内容は、ほとんどが架空の世界の物語である。実体験からスタートした話も、いつの間にか太郎ワールドにトランスしている。結構面白いんだけどね、太郎ワールド。