2024カナダ、アメリカ旅行

投稿者: | 2024年7月12日

3年越しの長期海外旅行計画である。国内出張でかなり溜め込んでいたANAのマイルを使ってビジネスクラスを使ったリッチな旅をしようと、2019年のイギリス旅行の翌年から計画していた。航空会社のマイレージプログラムというのは色んな使い方ができるが、使い方次第でマイルの「単価」は大きく異なる。最も効率が良いのが特典航空券での利用で、中でもビジネスクラスでの利用が飛び抜けて高効率だ。そしてロンドンには、ANAの新しい(当時は)ビジネスクラスシート、The Room設定機材が就航しているのだ。今ではそれほど珍しくもなくなったが、ドア付きのパーテーションで仕切られた、正に個室のようなこのシートはもはやファーストクラスと比べても遜色なく、実際に普段はファーストクラスを利用している人が利用してみて好意的なレビューを書いたりしていた。当然ながら人気は高く、それを特典航空券で予約するのは非常に難易度が高い。ANAの場合、国際線の特典航空券は往復同時に予約する必要があり、予約開始は復路搭乗日の355日前午前9時(日本時間)だ。実際の旅程で予約しようとしてもまず競争に勝てないので、着いたその日にとんぼ返りで帰るというあり得ない旅程でまず往路便を確保して、実際の復路搭乗日の355日前に復路便を変更するというテクニックが必要になる。人気路線のビジネスクラスだと開始時間の数分後には満席になるので、熾烈な競争を制するには速い回線と素早い操作が不可欠だ。そんなこんなで苦労して、何とか片道だけThe Roomで予約できた2020年夏の旅行は、COVIDパンデミックのため全便欠航でキャンセルとなった。翌2021年も海外旅行に行ける状況ではなく、収束を期待しつつ2022年夏の便を予約した。この時も当初は片道だけThe Roomだったのだがもう片方が後に欠航となり、結果的に往復The Roomで予約できた。しかし旅行直前に身内に不幸がありキャンセル、改めて2023年夏の便を予約した。復路便は空席待ちの状態だったけど、直前には空席が出るだろうと期待して旅行を計画した。ところが2週間前(発券期限)に来た連絡は無慈悲にも「お席を確保できませんでした」というもの。23年夏の旅行も夢と消えた。(後ほど追記予定)

今年も出発前から何かと波乱含みではあった。出発の前月には香織が帯状疱疹に罹って1週間寝込んだし、前週には自分が会社の飲み会でカンピロバクターに中って3日間腹痛に苦しんだ。それでも何とか当日までにはそれぞれ快復し、仕事の段取りも付け、無事に出発の日を迎えることができた。今回は羽田で乗り継ぎだが、特典航空券予約のテクニックの都合上国内線移動を合わせた旅程とできず、関空から羽田の往復は別に予約していた。とは言え同じANAなので同時にチェックインできるはずで、そうすれば羽田で一旦荷物を引き取る必要がなくそのまま載せ替えてもらえる。関空のチェックインカウンターで聞いてみると、やはりできるとのこと。そこでグランドスタッフの一言。「eTA(イータ)等のビザは申請されてますか?」何それ?初耳なんですけど。日本人がカナダに短期の旅行で行く場合ビザは免除されているが、空路での入国には事前に電子渡航認証が必要とのこと。2016年から義務化されたらしい。パスポート情報とか連絡先とかを入力させてるんだからどこかのタイミングで教えてくれてもいいのに、とは思ったけど、個人手配の旅行なので必要な申請関係を調べて準備しておくのは完全に自分の責任だ。誰を責めることもできない。認証を得ない限り飛行機に乗せてもらえないので、当然チェックインもできない。幸い、申請自体はオンラインで簡単にできて普通は数分程度で認証されるとのことだが、万一出発までに認証が間に合わなければ旅行自体のキャンセルもあり得る。早速申請してみると、カナダ自体が初渡航の自分は本当に一瞬で認証メールが届いたけど、昔学生ビザで留学していたことのある香織は確認中のメールが来るだけで待てど暮らせど認証メールが届かない。羽田を深夜に出発する便なので関空で遅めの昼食を食べるつもりで早めに空港に来たけど、食事どころではなくなってきた。羽田までの国内線の出発時刻が近づく中、ANAのグランドスタッフも心配して何度も様子を聞きに来てくれる。国内線を合わせた旅程にしていたらこの時点で間に合わなければアウトだが、今回は別にしているのでタイムリミットは羽田出発まで延ばすことができる。羽田で荷物を引き取らなくていいスルーチェックインは諦め、とにかく羽田まで移動することにした。移動中に対策を色々考える。今回は一旦キャンセルして今年中にリベンジでどこかに行くというのも考えたが、COVIDの特別措置で期限が延びたマイルを使っているので払い戻した時点で失効となる可能性が高い。では今回の旅行の日程を変更するのはどうか。認証が出発に間に合わないとしても、却下される理由はないはずなのでおそらく翌日の便なら問題なく間に合う。バンクーバーには3日ほど滞在する予定なので、到着が1日2日遅れてもその後の旅程には影響しない。翌日となると金曜夜の出発便なので席の確保は難しく、ビジネスクラスはまず無理だろうけど旅行に行けなくなるよりはマシだろう。あるいは行き先を変更してもいい。今回帰路便はニューヨーク発なので、そもそも単なる往復ではなくオープンジョーになっている。アメリカにも行くからESTAは申請しているので、例えば羽田からも就航便が多いシアトルになら今日にでも行ける。シアトルからバンクーバーは陸路でも数時間で行けるし、eTAが必要なのはあくまでも空路での入国なのでこのパターンならそもそも必要ない。いける。認証が間に合わなくても旅行には行けるぞ。そう思ったら落ち込んでいた気持ちもだいぶ晴れてきた。羽田に着陸する頃には、だいぶ前向きな気持ちになっていた。そして荷物を一旦引き取るためターンテーブルで待っている時に、eTAの認証メールが届いた。よかった。ネタ的にはシアトルに経路変更とかの方が面白かったかもしれないけど、予定通り行けるのが一番いい。ということで、色々あったけど結果的には無事に出発することができた。

バンクーバーまでの飛行時間は8時間ほど。アジアでも遠いところだと6時間くらい掛かるので、太平洋を越えてこの時間というのはずいぶん短く感じる。西海岸の北の方って意外と近いんだね。到着後は特に問題もなく、預けた荷物もすぐに出てきて、購入したeSIMをアクティベートして通信手段も確保、レンタカーを借りて宿泊先へ向かう。今回はシボレーのマリブ。便利なダウンタウンのホテルは高くてとても手が出ず、今回はレンタカー利用ということもあって宿泊は少し外れのUBCの大学敷地内にある宿泊施設。エアコン無しの部屋ということでちょっと不安だったけど、予報を見る限り滞在中は日中の最高気温でも22℃~23℃程度なので何とかなるだろう。鍵のシステムが面白くて、完全に電子化されていて物理鍵はないんだけど、アプリがあればアプリで解錠(なければ暗証番号)できて、それが客室ドアだけでなく宿泊エリアの共通ドアや地下駐車場のゲートにも使えるようになっていた。特に駐車場では窓から腕を伸ばすことなく車内で解錠できるのは非常に便利だった。機内食をしっかり食べてそれほどお腹が空いていなかったのと、外食は何であれめちゃくちゃ高いので夕食はスーパーのお惣菜で済ませることにした。スーパーは車で10分ちょっとの距離に何店舗かある。肉やチーズなんかは意外とそこまで高くないけど、野菜はびっくりするくらい高い。部屋に電子レンジがないのでサンドイッチの類いと水を買い込んだ。夕食後に近所を散策。夜の9時くらいはまだ明るいので感覚が狂いがちだ。

2日目、時差ボケで朝4時頃目が覚める。さすがにまだ暗い。すぐに明るくなってきたので、朝食前にも少し近所を散策した。大学街、というか大学の敷地内なので独特の雰囲気がある。この日は有名な吊り橋があるキャピラノ(Capilano)に行く。ダウンタウンのど真ん中を抜けていくしかないので早めに移動する。そう言えば、北米のレンタカーはナビはオプションになっていることが多くて今回も付いていないので、スマホのナビが使いやすいようにエアコン吹き出し口に固定するタイプのスマホホルダーを持ってきているんだけど、Bluetoothで接続したらCarplayでiPhoneの画面がそのまま車の画面に表示されたので、車載のナビと同じ感覚で使うことができた。ただこの朝は接続先を香織のiPhoneから自分のiPhoneに切り替えるのに手間取って、スマホホルダーが活躍した。これでもナビは別に問題ないんだけど、iPhoneの画面がずっと点いているのでバッテリー消費はやはり早くなる。キャピラノには11年前に香織と太郎の2人で旅行した時にも来ている。有名な観光名所なので朝から人は多い。国内、州内からの観光客も多そうで、外国人ばかりという感じではなかった。有名な吊り橋は主塔がなく岩盤から直接ワイヤーを伸張したタイプで吊床板橋に近い。主ケーブルが手すりになっていて、ハンガーロープが短いため非常に揺れが強い。吊り橋以外にもキャノピーウォーク的なものもあり、公園全体が自然の中のトレイルを楽しめるよう丁寧に手入れされている。所々にカフェやショップもあって、当然のように観光地価格なんだけどちょっと想像を超えていた。ソフトクリームが1カップ$10とか、そんなレベルだ。結局何も買わなかった。公園の少し上流に利水ダム(Cleveland Dam)があったのでついでに見に行ってきた。綺麗なダム湖と渓谷があってピクニックの名所っぽかったけど、手ぶらで来て楽しめるところではなさそうだった。お腹も空いたので、ノースバンクーバーまで移動してここに来て初めての外食。ちょっと怪しげな日本食っぽいレストランで、比較的庶民的なお値段だった。近くにWalmartがあったので買い出しした後、一旦ホテルに戻ることにした。朝はそうでもなかったけどスタンレーパーク(Stanley Park)とノースバンクーバーを結ぶライオンズゲートブリッジ(the Lions Gate Brdge)は渋滞スポットらしく、午後はひどい渋滞で通過にかなり時間が掛かった。時差ボケもあって猛烈に眠くなってしんどかった。ホテルに戻って少し昼寝するつもりが、3時間くらいガッツリ寝てしまった。19時を過ぎてしまったけど、まだまだ全然明るいのでダウンタウンに繰り出すことにした。ダウンタウンは駐車場があまりなくて高いので、路上のパーキングメーターを使うことになる。この時点でまだカナダドルの現金を全く持っていなかったんだけど、調べてみるとパーキングメーターでクレジットカードが使えないタイプは米ドルのコインも使えるらしい。米ドルの25セントコインは結構大量に持ってきているのでそれを使うことにした。少し外れの駐めやすそうな場所を見つけて車を置いて、徒歩でダウンタウンを散策する。香織が昔住んでいた所や通学路など、馴染みのスポットを案内してもらう。その後はウォーターフロントまで歩いて、港が見えるオサレなレストランで遅めの夕食。午前中に観光地価格の洗礼を受けていたからかそれほど高く感じなかった。

3日目、この日の予定はスタンレーパーク。公園の海に面した外周が遊歩道と自転車道になっているので、ぐるっと1週自転車で回ることにする。ところでバンクーバーは非常に自転車、特にロードバイクが多い。ダウンタウンの街中も、UBCの辺りの少し外れたエリアも自転車通行帯が充実していて、ヘルメットを被ってサイクルスーツを着た割とガチめのサイクリストが颯爽と走り抜けていく。そこそこ起伏のある地形なので必ずしも自転車に向いた町ではない気がするんだけど、ロードバイカーにとってはこれくらいが丁度いいのかもしれない。レンタルサイクルも色んなタイプがあるようだった。「普通の」タイプを選んだけど、いわゆるクロスバイクにママチャリのサドルを乗せた感じの自転車だった。後から見ると車を駐めた駐車場の近くにもレンタルサイクルがあったんだけど朝は見つけられなくて、結局港の辺りまで30分以上歩いたところで借りた。スタンレーパークを1周した後、レンタサイクルを返してすぐ近くのシェアバイクをピックし、駐車場の近くまではシェアバイクで戻るという自転車尽くしの半日だった。お昼は近くのイングリッシュベイで食べることにした。ビーチ近くに国際色豊かなちょっとごちゃごちゃした感じのレストラン(食堂?)が並んでいるエリアがあって、その一つの中東系っぽいお店で路上に並べた簡易テーブルで食べた。美味しかったんだけど、その後スタバにも行きたかったので完食はできず。あちこちにあるスタバは日本とだいたい同じメニューで、値段もそんなに高くなかった。アメリカのスタバにはないショートサイズもちゃんとあった。対応してくれた店員は日本人だった。ワーキングホリデーとかかもしれない。聞いてないけど。その後、もう一度ウォーターフロントに移動する。ガスタウンの観光客向けエリアを少し散策。日本人の高校生っぽい団体がいた。11年前に香織と太郎が来たときにアイスワインのキャンディーを見つけた土産物屋に行って見るもお目当ての品は見つからず。自分たち用のTシャツを買って帰った。午後は早めにホテルに帰って、コインランドリーで洗濯を済ます。旅行の途中で洗濯ができるのはありがたい。コインランドリーがある共用エリアで電子レンジや湯沸かし器も使えることが分かったので、夕食はスーパーで買ってくることにした。電子レンジが使えると選べる食材の幅がだいぶ広くなる。この日はラザニアとピラフを買ってきた。

4日目は移動日。夕方の便なので時間はたっぷりある。せっかくなので空港の南側、リッチモンド(Richmond)にも行ってみる。空港のすぐ近くにCostcoがあったので寄ってみた。駐車場と店舗の配置、店舗の中の様子、扱っている商品、どれをとっても日本のものとほとんど同じで興味深くはあるけど、新鮮味はない。特に何も買わずに出てきた。なお日本と同様、入店は会員とその同伴者に限られる。会員カードは世界共通とのことだったので、こんなこともあろうかと日本で作った会員カードを持ってきていたのだ。リッチモンドには他にもIKEAやHomeDEPOなどお馴染みの量販店や大きなショッピングモールもあって、バンクーバーの他の地域とは雰囲気が違う。そして中国語、中国人の存在感が際立っている。中国語の看板はあちこちにあるし、道行く人もアジア系ばかりでそこここから中国語の会話が聞こえてくる。時間もあるし、比較的物価の安いリッチモンドで少し買い物をしようといくつかモールを回ってみたけどめぼしいものはなく、食事だけして早めに空港に向かうことにする。その前にレンタカーの給油。ガソリンスタンドはほとんどがセルフサービスで、アメリカと違って日本のクレジットカードでも問題なくポンプで支払いまでできる。満タンという指定がないのはアメリカと同じで、満タンにしたければ多めの金額を指定しておく(請求されるのは実際に入った分だけ)という仕組みだ。バンクーバーからカルガリーまでの移動はWestJetというLCC。事前にオンラインチェックインを済ませていたので、空港ではカウンターに立ち寄るまでもなく、機械で自分で荷物用タグを印刷して預け入れ荷物に着け、自分の手で所定の場所に「ドロップオフ」するシンプルな運用。非常にスムーズだった。ただ、その後肝心の飛行機がまさかの大幅遅延。カルガリーに着いたのは午後9時を過ぎていた。ここでもレンタカーを借りてホテルにチェックイン。スーパーやファストフードはもう閉まってしまう時間なので、ホテルのすぐ近くにあったバーガーキングのドライブスルーでハンバーガーを買ってきてホテルの部屋で食べた。

5日目はコロンビア氷原(Columbia Icefield)観光。カナディアンロッキーに囲まれた氷原で、カルガリーからは330kmほど離れている。カルガリー市街や近郊のバンフ(Bunff)からの観光ツアーもあったんだけど、日程が合わなかったのでレンタカーで自走していく計画にした。バンフからの道はIcefield Parkwayという風光明媚な観光道路になっていて、ドライブ観光の名所にもなっているらしい。今回のレンタカーはKIAのForte。しっかりCarplayに対応していて、iPhoneのマップでナビが使えた。12:15開始で予約していたツアーに合わせて8時頃にホテルを出たけど、そもそもそれほど余裕のある計画ではなく、途中トイレ休憩で高速道路を降りた時にトイレを探すのに手間取って30分ほどロスしてしまったのと、最後の数10kmをスピードが遅いくせに他の車を先に行かせるつもりが全くないバスの後ろに付いて走らざるを得なかったのとでツアーの開始に間に合わなかった。ツアー自体は15分置きくらに出ていて、遅れる人や早く来すぎる人は普通にいるようで時間変更は簡単にできた。次の空きは14:15発のツアーだと言われたけど、各ツアーの出発直前に定員に空きがあれば入れてくれるスタンバイで待つこともできて、2人だけなのであっさり次の12:45発のツアーに参加することができた。今回の旅行は出発前から波乱含みだったので、この程度のマイナートラブルはトラブルのうちにも入らない感じだ。出発拠点から普通のバスで10分ほど走って氷原用の特殊バスの発着点まで行き、バスを乗り換えて氷原の上まで移動する。運転手の兄ちゃんがユーモアたっぷりのガイドをしてくれるんだけど、途中45°くらいあろうかという急坂を上り下りする間は運転に集中する必要があるためしばしガイドは中断になった。氷原は何と言っても氷の上なので夏でも寒いときは本当に寒いらしいんだけど、この日は快晴に恵まれてTシャツの上にジャケット1枚で十分だった。氷原ツアーを満喫し、遅めのランチを食べた後帰路につく。往路は時間に余裕がなかったのでせっかくの観光道路もどこにも寄らずにひたすら走ってきたけど、帰りはせっかくなのでルイーズ湖(Lake Louise)に寄ることにした。駐車場代が1時間で$36とか(4400円くらい?)だったけど、ここまで来て気にしても仕方がない。氷河からの水が流れ込む湖で、ミネラルの関係か綺麗なブルーの水を湛えている。カヤックに乗っている人がいたのでちょっと乗ってみようかと乗り場に行ってみたら、30分で$160くらいだった。今更値段を気にしても仕方ないとは言ったもののちょっとこれは気になる。まだ2時間ほど運転して帰らないといけないこともあって、カヤックは諦めることにした。帰り道、さすがに眠気に耐えられなくなって残り100kmを切ったくらいの地点で休憩。コーヒーを買ったついでに、夕食も仕入れておく。カルガリーも市街中心部には遅くまで開いているスーパーやレストランもあるだろうけど、ホテルは空港近くの少し外れた場所だし、暗くなってから全く知らない市街中心部を探し回るのも疲れそうだ。市内のガソリンスタンドで給油だけしてホテルに帰ることにした。

6日目も移動日。朝の便でケベックからモントリオール(Montréal)に飛んで、そのままケベックシティ(Québec City)まで行ってそこに泊まる。モントリオールからケベックシティへの移動はバスと電車が(あと飛行機も)あって、バスが空港から直行で良さそうだったけど飛行機の遅延が怖いので予約はせず着いてから考えることにする。ケベックの空港でレンタカーを返却し、今回の旅行での運転は終了。飛行機は今回もWestJjet。カルガリーの空港ではバゲッジドロップオフも自動化されていて、キオスクで荷物タグを印刷してチェックイン荷物に取り付け、機械に自分で入れるとタグが自動的に読み取られる一連のプロセスが一切スタッフの手を介すことなく完了する。フライトも大きな遅延なくモントリオールに到着。フライト時間は4時間ほどだけど、時差が2時間あるので到着時の現地時間は6時間後。この後ケベックシティまでの移動も3時間ほど掛かるので、ほぼ移動だけで1日使う感じだ。バスのチケットカウンターの場所が分かりにくく、あちこちで聞いて漸く見つけたと思ったら、夕方5時の便は既に満席で次の便は夜9時発とのこと。さすがにそれでは遅すぎるので、予定を変更して電車で移動することにする。中央駅(Gare Centrale)までのシャトルバスのチケットを買って、30分ほどのバスの中で電車のチケットを確保する。シャトルバスに乗っている大きなスーツケースを持った人たちはほとんどが中央駅で降りるんだと思ってたけど全然そんなことはなく、バス停の案内も通り名だけで駅とも何とも言ってくれないのでちゃんと路線図を見てなかったら危うく乗り過ごすところだった。ケベック州はフランス語圏なのでアナウンスも全てフランス語が先になる。チケットカウンターでも商店でも英語は普通に通じるけど、自分以外の人たちは大半がフランス語で話していて何となく別の国に来たような感じがする。言語だけでなく、街の感じや駅の造り、行き交う人の服装、人種構成などが地域によって全く違っていて、モザイクという表現に納得する。なお、後日に分かったことだがモントリオール市内各地に向かうメトロに乗り継ぐ場合中央駅はあまり便利ではなく、少し先のメトロの路線が交叉するLionel-Groulxという駅が便利で多くの人はそこを利用するみたいだった。我々はケベックシティに向かうので中央駅で正解だ。ケベックシティまでの列車はまたも遅延。飛行機と大して変わらない値段がしたけど、サービスも飛行機並みかそれ以上だった。快適なシートに電源と無料のWiFi、食事やドリンクの車内販売もある。車内販売のスタッフが2020年に日本に旅行していたとのことで、しばらく話し込む。最近は日本からの旅行者は減っていると思うけど、日本から来たと言うとだいたい好意的な反応が返ってくるのはやはり嬉しい。ケベックシティまでは3時間半ほど。だいぶ遅い時間になってしまったので、ホテルまではタクシーで移動。ホテルはキッチンの備わったコンドミニアムタイプで、部屋の鍵はロビーのキーボックスから予めメッセージで受け取っていたコードを使って取り出す仕組みだった。返却も同様の方法で、結局最後までホテルのスタッフと顔を合わすことはなかった。

7日目はケベックシティ観光。ここから先の宿泊は朝食が付いていない。カフェやベーカリーは朝早くから開いているので食べに行くか買って来るかしようと思っていたけど、起きた時間が遅くてスーパーも開いている時間になったのでスーパーで食材を買ってくることにした。この旅行ではここまで野菜を食べる機会があまりなかったので、ここぞとばかりにサラダを買い込んで久しぶりにたっぷり食べた。観光名所が集まっている旧市街までは少し距離があったけど、朝は肌寒いくらいだったので歩いて行くことにした。旧市街はそれほど広くないので、着いてしまえば主立ったところはほぼ徒歩で回れる。一通り見て回った後、少し距離というか高低差があるけど19世紀の要塞であるシタデル(Citadelle de Québec)に行ってみた。現在もカナダ軍王立第22連隊が駐屯する軍事基地になっていて、ガイド付きのツアーに参加しなければ中には入れない。ここのチケットブースのお兄さんも最近日本に行ったと言っていた。まあ円安だもんね。参加した英語のガイドツアーの参加者はほとんどがアメリカからの観光客だった。19世紀の要塞ということで、当時の仮想敵国はもちろんアメリカ。ケベックは実際にアメリカの侵攻を受けていて、再度の侵攻を防ぐためにシタデルが建設され、それ以降は侵略を許していないとのことだった。そうした歴史の話をアメリカ人たちと一緒に聞くというのもなかなか面白い経験だった。昼は旧市街のオサレなレストラン。フランス語圏ではあるものの、レストランや商店、駅やタクシーでは英語も全く問題なく通じる。カナダの他州やアメリカからの観光客が多そうだけど、比較的簡単に行けて言葉の心配もなく、それでいてしっかり外国気分(カナダ人であっても)を味わえるので人気なのもよく分かる。歩き疲れたのでホテルに戻って少し休み、夜になってから改めて港の方に出かけてみることにした。もう十分に歩いたので、今回はバスを使う。バスの路線は少し複雑だけど、チケットはwebで簡単に買えるので旅行者にも使いやすい。港を少し散策してまたバスで帰った。ヨーロッパでよくあるゾーン制で、90分以内なら往復しても料金は1回分だけで済む。夕食はまたスーパーの食材で済ませた。電子レンジとトースターがあるのでかなり色んな食材が選べる。野菜たっぷりのスープを食べて野菜不足をほぼ解消できた。

8日目はモントリオール観光。1日しかないので、朝のうちにモントリオールまで移動する。当初はバスでの移動を考えていたけど、列車が快適だったので戻りも列車にした。ケベックシティに来るときは遅延していたこともあって荷物のチェックはなかったけど、本来は大型のスーツケースは追加料金が掛かるらしくて今回は1つ分の追加料金を取られた。平日朝のモントリオール行きということで、日帰り出張のビジネスマンっぽい人も多かった。昼前にモントリオールに着いて、荷物だけホテルに預けて観光に行くつもりだったけど、モントリオールでのホテルもコンドミニアムタイプでスタッフは常駐しておらず、鍵の受け渡しの連絡も来ていなかったのでホテルに入れなかった。近くにある手荷物預かりサービスを探している時に連絡が入り、清掃の人がもうすぐ来るので荷物を預かってくれるとのこと。ランチを食べてホテルに戻り、荷物を預けて少し近所を散策した。清掃が終わってから改めてホテルに戻って洗濯を仕掛けていくことにする。1泊しかしないのが勿体ないくらい立派な部屋で、独立したベッドルームや立派なキッチン、洗濯機と乾燥機まで部屋の中にあって自由に使えるようになっていた。コインランドリーと違って仕掛けたまま出かけられるのでとても助かる。なお、鍵の受け渡しはケベックシティのホテルのようなスマートなシステムではなく、屋外のガスか何かの配管にぶら下がっているダイヤル式のキーボックスに鍵が入っていて、キーボックスの番号がメッセージで届くという仕組みだった。モントリオール観光の目玉はここを本拠地とするシルク・ド・ソレイユ(Cirque du Soleil)のショーを観ること。メトロの1日券を買ってダウンタウンに向かう。ショーの開始時間までダウンタウンや港のエリアを散策した。モントリオールの街はやはりヨーロッパ的ではあるけどケベックシティとはまた雰囲気が全く違っていて、この国は本当に同じ国と思えないくらい町、地域によって感じが変わる。ショーの演目は大阪でも観たことのある「キュリオス(Kurios)」。場内アナウンスはフランス語だけだったけど、ショー自体は言語に依存しないので問題なく楽しめた。観客は外国人を含む観光客も多そうだったけど、やはり本場ということで反応の良さは大阪公演とは全然違った。

9日目は最後の移動。いよいよカナダを後にし、最後の目的地ニューヨークに向かう。ホテルの最寄駅からメトロで1駅の結節点、Lionel-Groulxから3日前にも使った空港までのシャトルバスに乗る。モントリオールからニューヨークの便はAir Canada。WestJetと同じように機械で荷物タグを印刷して、預けようとしたら場所が違うとエラーが出た。その場所はカナダ国内線と「国際線(International)」の場所で、アメリカ行きはカウンターが違うらしい。国際線とアメリカ行きが違うというのは違和感があるが、その理由はすぐに分かった。カナダからアメリカに行く航空便の全てがそうなのかどうかは分からないが、モントリオールの空港からアメリカに行く場合、アメリカへの入国手続きはモントリオールで実施することになっているのだ。入国審査自体はすぐに終わったけど、そこまで1時間くらい列に並ばされた。カナダドルの現金は結局コインランドリーで1回使ったきりで結構余っていたのだが、残しても仕方ないので空港の売店で見つけたアイスワインキャンディーを盛大に大人買いしてほぼ綺麗に使い切った。モントリオールからのエアカナダはニューヨークのJFKではなく、ラガーティア(LaGuardia)空港に着く。一応国際空港なんだけど長距離国際線は就航しておらず、税関や検疫の施設もない。飛行機を降りて預入手荷物を受け取ったら、気付かないうちに制限区域の外に出ていた。宿を取っているブルックリン(Brooklyn)まではタクシーで移動する。タクシー乗り場に行き先ごとの値段の目安が書いてあって、だいたいそれくらいのメーター価格で到着した。支払いはもちろんクレジットカード。チップはプリセットされた3択から選ぶか自分で金額を入力する形で、3択の最低が30%だった。さすがに高すぎるとは思ったけど、自分で改めて計算して入力するのも面倒なのでそのまま30%で支払った。

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